ボートレースは、大時計の針が0秒から1秒を指す間にスタートラインを通過しなければならないルール。その針が0秒を指す前に同ラインを通過するとフライングとなり、これを犯した艇に関する舟券は全額返還され、当該レーサーは特定期間出場停止のペナルティが課される。それ故、ボートレーサーにとってスタートは大きなポイントのひとつ。AbemaTV「アベマde週末ボートレース~Friday~」11月22日放送回で特集された今井美亜も、課題であり飛躍のカギともいえた。
高校2年生の頃、憧れていたカヌー部の先輩に進路を聞かれて何となく「ボートですかね」と答えると、「似合うじゃん」と後押しされたことでボートレーサーへの道を選んだ今井。2010年にデビューすると、部活で培った身体能力で着実に実力を付けていった。
2014年には、地元のボートレース三国で開催されたプレミアムGI「レディースチャンピオンシップ」で水神祭。その勢いで予選をトップ通過すると、優勝戦進出をかけた準優勝戦で1号艇の大チャンスを掴んだ。「1号艇になれると思わなかった。流れは良かった」と語った今井だったが、結果は痛恨のフライング。「ものすごい未熟だった」「自分のできること以上のことをしようとした」と当時を振り返った。
フライングの多さは、今井にとって大きな足かせ。2018年、同じくボートレース三国でのGIII「オールレディース」優勝戦でもフライングを犯すと、「もっと大きな舞台で走りたいという気持ちが強くなっていたのに、同じ失敗を繰り返している」「自分で自分の走る場所をなくしている」「本当に変わりたい。変わらなきゃいけない」と意識改革に努めた。
「もう(フライングを)切らない」。そう心に決めた2019年、8月にはボートレース蒲郡で行われたレディースチャンピオンシップで優勝戦3着の好成績。獲得賞金の大きな上乗せに成功したが、今井自身は「不完全燃焼」「パッとしない」とこれまでのレースを評価する。フライングに対する意識。その葛藤で苦しむ今井だったが、同レースで最年少優勝した大山千広選手の走りを見て刺激を受けたという。
「自分が当時、できなかったことをやっている」とひたすら感動。同時に「年末の12人に残りたい」とクイーンズクライマックス出場への思いも強くなった。そのためには「抑えてきた部分を、良いレースをする部分に持っていきたい」と攻めのスタートを決意。「抑えて分かったことは、そういうレースがしたい」と熱く語った。
カヌー部時代に先輩から言われた「自分に負けるな」という言葉が大切だという今井。「楽な方に持っていくのは簡単だけど、それは自分にも負けている」と、ティアラ獲得とファンへの恩返しを誓った。
(AbemaTV/BOATRACEチャンネルより)