競輪初心者の知り合いから、こんな質問がありました。
「コメントで何を読み解くの?」
どの公営競技でも選手のコメントはあるでしょう。しかし競輪ではその意味合いが大きいため、予想紙や予想サイトには必ず掲載されます。『WinTicket』でも「出走表」をクリックした後、「ギア・コメント」をクリックすれば読むことが可能です。
そこにある選手コメントを読めば、「誰と誰がラインを組むのか」がわかります。逆にこれがないと「並び予想」が立てられず、お客さんがレースの展開予想できない。つまり車券を買う指針がなくなってしまうため、選手は嘘なしのコメントをするのです。
ちなみに競輪を長年やっていれば選手名や出身都道府県を見て、おおよその並び予想はできますが、同地区で同タイプの選手が複数いたり、同地区の選手がいなかったりした場合は、誰がどの順で並ぶか、選手に聞かないとわかりません。なので、ベテランの競輪ファンでも選手のコメントは読むのが基本です(リアルタイムで参戦可能ならばレース前の選手紹介でラインを確認できますが、事前予想するなら必要)。
その中で最もオーソドックスなコメントがこちらになります。
「自力」→「○○君へ」→「○○君のうしろ」
例えば今年の11月24日に小倉で行われた「競輪祭」S級決勝では……。
清水裕友選手「自力」→松浦悠士選手「清水君目標」→柏野智典選手「松浦君のうしろ」
結果、この順で3車ラインが組まれ、松浦悠士選手の優勝となったのです。
昨年末の「KEIRINグランプリ2018」では……。
脇本雄太選手「自力です」→三谷竜生選手「脇本君マーク」→村上義弘選手「三谷君です」→村上博幸選手「近畿の4番手」
結果、この順で4車ラインが組まれ、三谷竜生選手の優勝となったのです。こちらは4車ですが基本は同じ。オーソドックなコメントは……。
「自力」(先行)→「○○君へ(目標)」(2番手)→「○○君(地区名)のうしろ(3番手)」(3番手)
選手の名前だった場合はその選手の番手へ。「うしろ」となっていた場合、そのラインの最後(3車ラインなら3番手)になるというお決まりがあります。それを覚えておきましょう……と言いたいところですが、「並び予想」を見ればいいので覚える必要はありません。
それよりもコメントのその先を深読みしてみようじゃありませんか。
例えば「自力で」というのと「自力勝負」では、後者のほうがやる気を感じると思いませんか?
後者のほうが早めにカマして逃げ切ろうという意思を感じる。逃げと捲りの決まり手が遜色ない選手がこのコメントをしていたなら、「今日は逃げそうだな……」と予想が立つのです。
「自力でがんばるだけ」とか「自力でなんとかする」も逃げそうな予感。
「自分でがんばりたい」も逃げそうだけど、ちょっと頼りない。叩かれそう。
「いつも通りの自力で」はいつも通りの戦術=決まり手にある数字通りの逃げか捲りでしょう。
「自力で力出し切る」は足がもたなくても徹底先行でラインを勝たせる意思強し。応援はしたくなりますけど、頭はいらないかなぁ……となります。
「ラインあるし自力」の場合、「本当は番手に回りたいんだけど、一番下っ端だし、仕方ないから風切って走るか……」という消極的な姿勢が見え隠れしていて、外して買いたくなってしまいますよね。
また、「自力」に「自在」を重ねてくる選手がいます。「自分で自力自在に」とか。前から行って、うしろからの上がりがなければそのまま逃げだけど、別線が上がってきたら行かせて捲り勝負といった意味の自在になるのでしょうが、どちらかといえば「逃げ<捲り」というイメージが強いです。
「先行・捲りの自力」とかでも、捲りのほうが強めに感じてしまいます。
「自力で組み立てる」「流れ見て自力」「行けるところから自力」も捲り主体の感じ。
「自力主体でがんばる」や「先行基本のレース」といったコメントは、「本当は逃げたいよ。逃げたいけど強いラインに叩かれて、捲りに回されそう」というネガティブが入っていて、このラインも予想から外したくなってしまいます。
もうどっちかわからないから「決めずに」とコメントする選手。
……まあ、実際にはどっちかわからずにというわけではなく、同県同地区の選手がいなくて入るべきラインがないけど、どこかのラインのうしろに回ることはなく、「決めずに」行きますということでしょう。結果、単騎になりやすいです。
「決めずに自分でやる」とか「単騎でも自力で」とコメントしている選手が逃げや捲りの決まり手が多ければ、最終的に強いラインのうしろに付いて、そこから2段ロケットでの捲りを放つ可能性が高いので、頭から高配当を狙えるレースと言えます。
一方、追い込み主体の強い選手が「決めずに流れでやる」とコメントしていたら、強いラインの2着、3着予想に入れて、高配当を狙えます。
以上、先行や単騎になるであろう選手のコメントを深読みしてみました。
次回では番手に回るであろう選手、さらにガールズ選手のコメントを深読みしてみます。
文・ウエノミツアキ