「故人様が見ていると思いながら清掃作業をしている」特殊清掃人が語る、急増する“孤独死の現場”
番組をみる »

 ミニチュアで作られた小さな部屋。壁にはテープで“ゴメン”の文字。これは、住人が自殺をした部屋を再現したものだ。制作したのは、“特殊清掃”を行う遺品整理人・小島美羽さん。

「故人様が見ていると思いながら清掃作業をしている」特殊清掃人が語る、急増する“孤独死の現場”

 「この方は大学生で、就職難に悩んで亡くなってしまった方だったので、ここに就職のチラシが貼ってある。ガムテープの“ゴメン”という文字は、いろんな意味のゴメンだと思う。“先に死んでゴメン”“迷惑かけてゴメン”。宗教本や生死に関わる本を読み漁っている方に多く、この方も生きるのにもがいた証というか、自分の生きる価値を見出していたのかな」。

 特殊清掃とは、孤独死、事件・事故・自殺等で遺体の発見が遅れ、腐敗によるダメージを受けた部屋の現状回復を行う業種で、2013年には全国に326社あったものが、2017年には5269社と、15倍に増えている。背景にあるのは、孤独死の増加だ。自宅で亡くなった65歳以上の単身世帯は15年間で約2.7倍と急増、発見までに死後2日以上が経過した高齢者は推計で年間2万7000人(ニッセイ基礎研究所調べ)に上る。

「故人様が見ていると思いながら清掃作業をしている」特殊清掃人が語る、急増する“孤独死の現場”

 高校2年の時に父親を亡くしたことから、「遺族の気持ちも分かるし、ちょっとでも助けてあげられるんじゃないか、気持ちを楽にしてあげられるんじゃないか」と考えて選んだ遺品整理の仕事。6年の間には、風呂場でのヒートショックによる事故死や、最後の助けを求めていたのか、玄関に向かって倒れ、そのまま3カ月にわたって発見されることのなかったケースなど、壮絶な現場を目の当たりにしてきた。「ゴミ屋敷で孤独死して3カ月くらい経っていた40代女性の場合、死臭がロフトや部屋の奥に。糞尿もペットボトルとか袋とかに入れちゃっていて、夏場だったので匂いもきつい現場だった」。

「故人様が見ていると思いながら清掃作業をしている」特殊清掃人が語る、急増する“孤独死の現場”

 それでもこの仕事、そしてミニチュアを作り続ける理由について、小島さんは「孤独死が起きていることを知らない人がすごく多い。“自分にも起こりうる”という危機感を持ってもらいたいし、“じゃあ自分はどう生きたらいいか”と、そこまで考えてもらえるようになったら」と話した。

「故人様が見ていると思いながら清掃作業をしている」特殊清掃人が語る、急増する“孤独死の現場”

 小島さんの作ったミニチュアについて、「まさにそのままだ。再現性が高い」と話すのが、YouTuber“おかたづけ請負人・すーさん”としても活動するブルークリーン株式会社取締役の鈴木亮太さんだ。鈴木さんの会社も、遺体の発見が遅れた現場の原状回復を行っている。

 「匂いに対する耐性もなかったので、やはり初めて入った現場のインパクトが強かった」と話す鈴木さん。「季節によって件数が変わるので一概には言えないが、ご遺品整理やゴミ屋敷の片付けも入れると現場には、ほぼ毎日入っている。ほとんどがワンルームでの作業で、特に多いのは木造で築30年、40年経っているアパートだ。自殺もあるが、離婚などで一人暮らしなり、身の回りのことができず部屋が散らかり、悪循環に陥ってしまっているケースも多い。高齢の方の場合は福祉サービスを受けられるが、とくに現役世代で人付き合いのない方が、孤独死に至ってしまう。その場合、近隣からの匂いのクレームから発見される。現場に遺族が立ち会えないことが多く、誰も見ていない中での作業だが、必ず故人様が見ていると思うようにしている」。

 番組では、そんな鈴木さんの作業の現場に密着取材させてもらった。

■相場以上の金額を請求されてしまうという問題も

「故人様が見ていると思いながら清掃作業をしている」特殊清掃人が語る、急増する“孤独死の現場”

 この日の作業は、70代の男性が、孤独死から1カ月経って発見された現場だ。今も残る暮らしの痕跡。「故人様はこのスペースで倒れていて、くつろいでいる間に急に発作が来たなどの理由で、ここで息絶えてしまったのではないか」と鈴木さん。

 感染症防止のためのマスクや手袋を装着し、薬品を撒く消毒作業から作業はスタートする。次はゴミの撤去作業だ。貴重品など、保管するものと仕分けする。中には現金もあった。「大家さんに一度お渡しして相談する」と鈴木さん。室内を埋め尽くしていたゴミが運び出され、見えてきた床には黒い染みがあった。死後、時間が経過すると、遺体から滲み出た血液や体液が床に広がり、染として残ってしまうという。なかなか落ちにくいため、専用の薬液を吹きかける。

「故人様が見ていると思いながら清掃作業をしている」特殊清掃人が語る、急増する“孤独死の現場”

 作業を始めて7時間後、フローリングも見違えるほど綺麗になった。最後に再び消毒をして換気し、作業は終了だ。今回、清掃を依頼者したのは、次の人に部屋を貸したいという大家さん。しかし、孤独死した人には家族や親類がいないケースも多いため、費用は大家が負担することも少なくないという。費用の相場は、室内消毒作業が1万5000円~、汚染箇所の清掃・解体・撤去が2万5000円~となっている。ただ、「現場や作業に関する具体的な説明がない」「明らかに安すぎるor高すぎる」「“貴重品の捜索”についての説明がない」といった業者には注意が必要だという。

 「うちの会社はまだ2期目だが、依頼件数はどんどん増えてきている。物量によってもかなり金額が変わってくるが、1K、ワンルームの部屋の特殊清掃を依頼された場合、大体20~40万円の間で行われている。匂いの状況や、畳なのかフローリングなのかで金額が変わってくる。ただ、この業界は不透明な点が多く、ご依頼される方が何も分からないまま、相場以上の金額を請求されてしまうという問題がある。僕がYouTubeで発信をしているのも、そういう部分を透明化していこうと思ったからだ」(鈴木さん)。

 なぜ大変な仕事を続けている、鈴木さんにも尋ねてみると、「全ての作業を無事に完了させ、ご遺族の方が現場を見て“心の整理がついた”とか“頼んで良かった”と感謝してくださる。その時に全て報われるというか、作業途中のストレスも全て吹っ飛ぶ。そういうやりがいがあるので続けていくことができる」と明かした。

「故人様が見ていると思いながら清掃作業をしている」特殊清掃人が語る、急増する“孤独死の現場”

 小島さんのミニチュア、そして鈴木さんの現場映像を熱心に見ていたAV監督の村西とおる氏は「私の死の認識は一般の方とはちょっと違っているかもしれない。私は死というものはないと思っている。エピクロスというギリシャの哲学者は“人間には死がない。なぜならば人類の過去の歴史から今日まで自分の死を見た人間は1人もいない。見ることのできないものはないのと同じ。だから人間には死がない。ないものに怯えることなかれ”と言っている。だから私もビビったりしない。それでも、みんなに迷惑をかけたらいけないなとは思う。だから鈴木さんのような方々は本当にありがたいと思う。こういう方がいらっしゃれば、女房、子ども、しがらみなんて怖くない。私も最期は鈴木さんにお願いできればいいということで胸がスキッとした。鈴木さんにお会いできたことで、人生が一貫して全部つながったみたいなね。鈴木さん、頼みますよ」と語っていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:“死の現場“に向き合う遺品整理人・特殊清掃が現実を語る

“死の現場“に向き合う遺品整理人・特殊清掃が現実を語る
“死の現場“に向き合う遺品整理人・特殊清掃が現実を語る