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 3年間で振った男の数は600人。モテることが趣味の“隠れビッチ”が本当のしあわせを求め葛藤し成長していく姿を描く映画『“隠れビッチ”やってました。』が12月6日(金)より全国公開する。原作はあらいぴろよの同名コミックエッセイで、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』『旅猫リポート』の三木康一郎監督がメガホンをとる。

 今回、AbemaTIMESは、清純派に擬態し男心をもてあそぶ“隠れビッチ”の主人公・ひろみを演じた女優・佐久間由衣と、ひろみが本気で恋に落ちてしまう美容師志望の安藤剛を演じた小関裕太インタビュー。苦労したという役作り、そして“隠れビッチ”に対する思いとは。

佐久間由衣、衝撃的なタイトルに動揺「お嫁に行けなくなるかも」

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ーータイトルだけ見るとショッキングな作品ですが、オファーが来たときどのように感じましたか?

小関:「え!ビッチ!?」って思いました。佐久間さんは、ごはん中とかでも普通にこの題名を言うんですけど、僕はまだ慣れないです(笑)。

佐久間:ちょっと慣れてしまいました(笑)。「ビッチが~」って普通に話しちゃう。

小関:「ビッチの取材どうだった~?」とかね(笑)。 でもその「ビッチ」には意味があって、世間でよくいう「ビッチ」とは違うので、台本を読んでみて、「あ、こういうのもあるんだ」と気づきました。心の中でいろんな人を弄ぶビッチ。劇中でも「体は意外とピュアなのよ」って言ってましたよね(笑)。

佐久間:そこが大事なんです。

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小関:完全にビッチというわけではないという面白さがあります。……でも正直、佐久間由衣ちゃんがそう見えてきました。あの役が強烈で印象に残っているので、仲良くなってもそう見えてきちゃう(笑)。

佐久間:やめて~!(笑)営業妨害だよ!

小関:え!営業妨害!?(笑)ごめんなさい。

佐久間:冗談だよ(笑)でも、わたしも最初は、タイトル名の「ビッチ」というキーワードが強烈で、内容が激しすぎるものなんじゃないかと、お嫁に行けなくなるような内容かな、と思ったんですけど、フタを開けてみたら違う意味でのビッチさでした。こういう女の子もいるんだな、と理解できる部分も多かった。台本を読んで、誰かに好かれたいという気持ちや、コンプレックスによって生まれる行動、彼女の生い立ち、そういった部分を知っていくにつれて、やってみたいという気持ちになりました。一人の女の子の成長物語になればと思いました。

この物語の中で、あらゆるジャンルの男性の方に出演して頂いて。もったいない!と思う男性も、ひろみがバサバサ切り捨てていくので、演じていて贅沢で楽しかったです。その中でも小関さんが演じた安藤くんとの時間は、唯一本当に楽しかった時間。ひろみにとって、本当の意味で豊かさを感じれた時間だったのだと思います。

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小関:安藤くんは「自然体系」と名付けられたキャラだったんですけど、結論、〇〇系にハマらないからこそ、ひろみからすれば初めて出会うタイプの人間で、知りたくなって、でもわからなくて興味がそそられたんでしょうね。本人は何も考えてないんですけど、勝手に答えを探してしまう。

佐久間:小関さんの演じた安藤くんは謎は多かったと思います。素直そうに見えて。小関さんの言うように、そこが安藤くんの魅力なんでしょうね。

三木康一郎監督に絞られまくった“隠れビッチ”の演技

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ーー現場でのお二人はどのような感じでしたか?

佐久間:小関さんはすごく役作りに真面目に取り組んでいらっしゃいました。安藤くんは美容師を目指しているという役柄で、シャンプーをするシーンがあるんですけど、そのために小関さんはすごく練習して、手もボロボロになっていました。シーンとしてはちょっとしか写っていないんですけど、現場で「美容師に見える」と感動しました。そこは見所の一つです。

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小関:恥ずかしいな(笑)。ありがとうございます。 佐久間さんは三木監督とディスカッションしながら演じていたので、楽しそうだなと思いつつも、大変そうだなと見ていました。

佐久間:監督から厳しいご指導をいただいたときも、小関さんが一番近くにいた気がします。色々気遣ってくださいました。

小関:三木監督とは三回目なので。佐久間さんがリミッターを外している瞬間を見させていただきました。 佐久間:リミッターが壊れていきましたね(笑)。

ーーとくに苦労したのはどのシーンでしょうか?

佐久間:素のひろみのシーンは、自分の中でテンションを上げることができれば、あとは楽しむだけという感じで考えずに演じれたんですけど、前半部分の隠れビッチを演じているときのひろみが難しかったです。あざとくだったりかわいくだったり、男性ウケというものがわからなくて監督に絞られました。この間も村上虹郎さんとお話ししていたときに「男だね」って言われたんです。監督にもそのようなことを言われました。わたしはあまり「女性として見られたい」という感情が強くないタイプなんです。「もっと可愛くして!」「悪い女に見せて!」とか、たくさん言われました。逆に素のひろみとして、シェアハウスにいるときや安藤くんといるときは「かわいさなんていらない!」って言われたり。パニックでした。

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ーー小関さんは以前『サムライマラソン』のときに、演じる役の背景を作り込むというお話をされていましたが、今回もされたんですか?

小関:はい。安藤は、どうしてアルバイトをここにしたのか、どうして美容師の免許を取りたいと思ったのかとか考えていました。

元々だらけた生活をしている人だと思うんです。お酒を飲んで、友達とつるんで、やりたいこともない、大学も行かなくていい、食えればいいや、みたいな。そんな生活をしている中で、みんなが大学を卒業して仕事に就くタイミングで、「あれ、俺って何やってるんだろう」とふと考えて、「自分は何の職なら付けるのかな。まぁ髪の毛とか興味あるし、美容師やろうかな」っていう時期だったのだと。そんな背景を考えて演じていました。

ーーそういう話を現場で佐久間さんともしていたんですか?

佐久間:初めて聞きました!

小関:現場で話せるタイミングがなくて。ずっと撮影が続いていたので。

ーー撮影を通して仲良くなられたんですね。

小関:はい。景色も綺麗で。

佐久間:一緒に写真撮ったりもしたね。

小関:バイクにも乗って。今だから言うんですけど、僕、今回の撮影でバイクに乗るのは三回目くらいだったんです。有料道路を走るのも初めてで。しかも女優さんを乗せて。リアルに運転しなきゃいけないので、心配させるわけには行かないし、「久しぶりなので練習してきます!」ってブーンって走って、見えなくなったときから、「やばい!この後本番じゃん!」って言うのを繰り返しました。戻ってきて何食わぬ顔で「もう一回行ってきますね」って。「命!」って思いながら撮影に臨んでいました(笑)。

佐久間:本当に!?全くそう見えなかった!本当にバイク好きなんだなーお散歩してるのかなと思って見ていました。

小関:そのおかげでできた関係性かなと思います(笑)。

小関裕太は“隠れビッチ”反対派「演じているなってすぐわかります」

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ーー劇中では、ひろみの勝負服として透け感のあるカットソーや、柔らかい素材のワンピースなどを採用していましたが、お二人の勝負服は?

佐久間:わたしはデニムにTシャツ、ひろみの素の姿のときのようなファッションが好きです。ここぞっていうときには逆に、一番力の抜けたファッションで行くかもしれません。

小関:僕はいつも勝負服です(笑)。実はすごくスーツが好きで、打ち上げのときや完成披露のときに着るのはもちろん、私服としても着ています。なのでいつも勝負服です。

ーー小関さんは“隠れビッチ”についてどう思いますか?

小関:僕は“隠れビッチ”反対。男ですから。惑わされたくないな。世の隠れビッチさん、やめてって感じです(笑)。

ーー騙されない?

小関:はい。自信はあります(笑)。今回のひろみに関して言うと、男からしても裏がわからないタイプの隠れビッチ。僕が出会ってきた、どの人にもよく見られたいっていう人は、演じているなってすぐわかります。妹がいるので、「こういう人はこういう風にするよ」って小学生の時から聞いていました(笑)。妹に育てられたので、そういうのは見抜いてしまいます。逆に考えてないような人を好きになります。「何を考えてるんだろう?」って気になる。安藤くんの女性バージョンみたいな人が好きです。

なので、世の女性のみなさん!隠れビッチはやめてください!純粋に生きてください!(笑)

佐久間:あはは(笑)。でも、小関さんは少数派かもしれないね。この作品に関わってより思ったんですけど、若い男性には、一般的な理想の女性像を持っているのではないかなと思いました。今の時代、小関さんのように、ファーストコンタクトから深く関わっていきたい、相手を知りたいと思っている男性は珍しいかもしれないですね。わたしも小関さんと同じタイプなんですけど。 周りに “隠れビッチ”肯定派の方もいました。みんなを幸せにしているから、それもいいと。お互いに幸せをもらって、一瞬の夢の時間というような。

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ーー最後に本作の見どころをお願いします。

佐久間:ひろみは、“隠れビッチ”をやっているときは、何かを埋めようということを意識するでもなく、楽しかったと思うんです。でも本気の恋に陥って、うまくいかなくて傷を負って。好きになってくれる人に出会ってもうまくいかず。自分がそうなってしまった原因、生い立ちを思い出す。演じていて苦しかった。全力で生きているのに、自分が社会に順応していけないという苦しみは共感しやすいかもしれません。現代の女性に届く作品になったと思います。

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ストーリー

 26歳の独身女・ひろみの趣味&特技は異性にモテること。絶妙のタイミングでのスキンシップや会話術で相手を翻弄し、「好きです」と告白させたら即フェイドアウト。そんなひろみに、シェアハウス仲間のコジと彩は呆れ顔で「最低の“隠れビッチ”ね!」とたしなめるも、彼女の耳には届かない。ある日、気になるお相手・安藤が現れるも、数年ぶりの負け試合。さらに安藤を本気で好きになっていたことに気づき、ショックを受ける。やけ酒をあおり酔いつぶれているところを、同じ職場の三沢に目撃され、すっかり醜態をさらしてしまう。ひろみは“隠れビッチ”だということを打ち明け、封印してきた過去と向き合い始める。本当のしあわせに気づいた時、彼女が出した答えとは…。

テキスト:堤茜子

写真:You Ishii

(C)2019『"隠れビッチ"やってました。』フィルムパートナーズ/光文社

映画『”隠れビッチ”やってました。』公式サイト
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