大和証券Mリーグ2019・12月9日の2回戦で起きた予想外の自体に、ファンが騒然となった。南4局1本場、ラス目だった赤坂ドリブンズの園田賢(最高位戦)が流局時にテンパイしていながら牌を伏せてノーテン宣言。3着目だったU-NEXT Piratesの朝倉康心(最高位戦)がノーテンであれば、2900点差がひっくり返るシーンだったが、本人は試合後にTwitterで、苦戦の影響からか「場面が記憶にありません」と謝罪。極限の集中力が求められる戦いであることが、改めて世に知らされた。
8チーム29選手が集うMリーグは、プロ歴が数十年に渡る者から、プロ2年目の若手までバラエティに飛んだ顔触れになっているが、注目を集めるリーグゆえか、トッププロの対局ではそうそう見られない少牌、見せ牌といったミスが出ている。今回のケースでは、流局時に園田と朝倉がテンパイだったことで、双方にテンパイ料が入るため、仮に園田がテンパイ宣言していても着順が変わることはなかったが、もしテンパイ・ノーテンで逆転している場面であれば、順位戦で20ポイント、点数にして2万点を損してしまうところだった。
試合後、園田は「最後のノーテン宣言は伏せていた場面が記憶にありません。9sポン考えてたところまでは覚えているのに…控え室に戻ってくるまで伏せてたことに気付いていませんでした。多分現在のポイント状況とトップ取れそうなところからの連続マンガン放銃からのラスの喪失感だと思います。本当すいませんでした。」と、ファンらに向けて謝罪のコメントを出した。
“魔法の鳴き”と称される巧みな打ち回しと、徹底的に麻雀を研究する頭脳明晰さで知られる園田の思わぬ行動に、ファンからはミスではなく何かしら意図があったのではないかと、様々な憶測が一瞬にしてネット上に広まった。理由が明かされた後も、ファンからは「そんなことがあるんですね」といった声や、他のプロ雀士からも、Mリーグの舞台で戦うことの厳しさを感じるといったコメントも挙がった。
将棋であれば、プロ棋士でも「二歩」を代表する反則によって負けてしまうことがあり、スポーツ界でも試合内容を覚えていないままゲームセットを迎える、といった話は珍しくないところ。麻雀でも自分の手牌、河の状況、対戦者3人の様子など、大量の情報量を処理し戦い続けるには人並み外れた集中力が必要であり、それが途切れた瞬間に思わぬ事態に見舞われるという、厳しさを象徴するようなシーンとなった。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。