米Googleに“逮捕歴”検索結果の削除命令 「異例の判決」を弁護士が解説
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 札幌地裁はインターネット検索サイト「Google」に対し、ある男性の逮捕歴に関する検索結果の削除を命じた。削除を求めた男性は、逮捕の3カ月後に嫌疑不十分で不起訴となっていた。

 北海道内に住んでいた男性は「自身の逮捕歴が検索結果に表示され続けるのはプライバシーの侵害だ」として、Googleに検索結果の削除を求めていた。札幌地裁は12日、米Googleに対して一部の削除を命じたと共同通信が伝えている。

 削除の対象となったのは、性犯罪などについて議論が交わされるインターネット上の掲示板。札幌地裁は、男性が削除を求めた検索結果のうち、半数以上は表示を裏付ける証拠がないとして認めなかった。

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 今回削除が認められたのは、検索ワードを打ち込んだ後に表示される、元のページをつなぐ検索結果。検索によってページに辿り着く方法が主流の今、検索結果でリンクなどが表示されなければ元のページの情報を閲覧することは難しくなる。

 インターネットの個人情報削除について詳しいモノリス法律事務所の河瀬季弁護士は、今回の件について「異例の判決だ」と話す。

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 「インターネット上に本人にとって見られたくない情報、例えば『逮捕された』というものがある場合に、検索結果に対して『そのページの表示を禁止せよ』『検索結果に出すな』ということを求めるケース。これに関して、仮処分では削除を認める決定はあったが、裁判所が判決を出すという意味では今回が初めて」(河瀬弁護士)

 今回の判決で、札幌地裁の高木勝己裁判長は「不起訴となってから7年経った今も、転勤先で逮捕について聞かれるなど私生活上の不利益が大きい」とし、公表されない利益が検索結果を表示する社会的必要性を優越すると判断した。

 では、今回の判決が今後の裁判に影響を与える可能性はあるのだろうか。

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 「影響は大きいと思う。仮処分の場合だと、なぜそういう判断になったのかというロジックを裁判所はあまり説明しないが、判決の場合には、どういうロジックで、何をどう考慮してそういう判断になったかというところが公開される。例えば、次に大阪で裁判をやるとして、『札幌の裁判所がこう判断しているから同じように判断してください』という話がやりやすくなったというのはある」(同)

 ただ、検索に関する個人情報についてはまだまだ課題が残っているという。

 「何らかの検索ワードを打った場合に、そのワードを検索する人が他にどのようなワードで検索しているかをGoogleが出すが、ここに『逮捕』『前科』というワードが出てしまうと、見る人はどうしても『この人は捕まったことがあるんだ』と考えてしまう」(同)

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 このサジェスト(予測表示)も、弁護士を介さないと消せないケースも多いと河瀬弁護士は指摘した。

 「表現の自由と個人のプライバシーや名誉というのを、どうバランスを取るのかの問題。少なくとも現代の日本に関していえば、検索結果から消すのが非常に大変すぎるという感覚はある」(同)

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 いわゆる“忘れられる権利”が尊重された今回の判決。罪を犯した人の更生支援を行っているアーサー・ホーランド牧師は、「逮捕されてから3カ月後に不起訴になったが、逮捕されたことがすでに広まってしまっている。どうしてもグレーに見てしまう人はいて、ネガティブにみられるケースもある。元犯罪者が仕事に復帰した時も、やはり疑われてしまうということは欧米などでは特にあって、そういうことは付きまとう」と自身が見た光景を踏まえつつ、「その人を個人的に知っている人は当然前向きに接するけど、知らない人は疑心暗鬼になって、SNSではそういうコメントが飛び交っている。SNSの便利な部分でもあるけど、フェイクニュースなども今騒がれていて、一つひとつ丁寧に向き合うことが必要」と訴えた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

映像:楪望アナのサジェストから解説

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