キリスト教で、イエス・キリストの降誕祭を意味するクリスマス。ユダヤ教では、「ハヌカ」と呼ばれる祭りが毎年この時期に8日間行われている。
ハヌカは紀元前2世紀にユダヤ人の独立戦争の勝利を記念した祭りで、ユダヤ暦に基づいて行われるため毎年日付が変わるが、今年は22日から。「光の祭り」とも呼ばれ、燭台に9本のろうそくを立て、初日は種火と1本目の計2本を点火。その後、毎日1本ずつ火を灯し、8日目に全てのろうそくに火がつく。ホワイトハウスでも2001年からハヌカを祝っている。
しかし今、ユダヤ教をめぐってアメリカでは対立が深まりつつある。
アメリカ史上最も“親イスラエル派”を自負するトランプ大統領は11日、ユダヤ教を宗教としてだけでなく国籍として再定義するとした大統領令に署名。反ユダヤ主義とみなす大学キャンパスでのイスラエル批判運動に対抗する狙いとみられる。
アメリカ・ニュージャージー州では10日、発砲事件が発生した。襲われたのはハラールフードなどを取り扱うユダヤ系のスーパーで、男女2人がスーパーに立てこもって発砲し、店にいたユダヤ教徒の客や店員、警察官など4人が死亡。容疑者の男女2人は、激しい銃撃戦の末射殺された。この2人は反ユダヤの思想を持っていたことがわかり、ニュージャージーの捜査当局はユダヤ教徒を狙った憎悪犯罪、いわゆる「ヘイトクライム」だとみている。
こうしたことから、アメリカではハヌカが行われる22日からテロへの警戒が高まっている。テレビ朝日元アメリカ総局長の名村晃一氏は「ハヌカはユダヤ教の人たちにとって非常に重要で、しかも今年は特にクリスマスに近い時期。最近の反ユダヤ、人種差別的な動きがアメリカの中では顕著になってきていて、ニュージャージーの銃撃事件も小さなスーパーで起きて非常にショッキングだった。アメリカ国内の対立の溝が深まっている中で、今年のハヌカは注目され警戒されている」と話す。
さらに、銃撃事件の背景として「トランプ大統領は親イスラエル派だが、それに対して当然他の国の考え方は違う。アメリカ政府のやり方に対する反発もある一方、人種差別的なヘイトクライムも非常に増えていて、ユダヤ人への迫害が加速されてしまっている。アメリカ内の様々な分断が人種や宗教でも起こる悪い循環になっている」と指摘。
また、アメリカではホリデーシーズンに向けて銃撃事件が増えているといい、「アメリカ国民は深刻に捉えていて、ハヌカとも重なっている中で『このままではいけない』という声がじわりじわりと広がっている」と危機感が募っているとした。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)







