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(場外にテーブルクラッシュダイブ。肉体的にきつい試合こそ田中の本領だ)

 DDT恒例のシングルリーグ戦・D王グランプリはZERO1・田中将斗の優勝で幕を閉じた。他団体からの参戦にして46歳、最年長選手の優勝だ。初戦から、その闘いは際立っていた。“弾丸戦士”の異名通りの真っ向勝負。エルボー、ラリアットを主武器とするタフなスタイルを、どんなタイプの選手に対しても貫いた。

 その結果が、リーグ公式戦無敗での決勝進出だ。12月28日、後楽園ホール大会メインでの決勝は遠藤哲哉と対戦。28歳、今年KO-D無差別級王座初戴冠を果たした、団体トップクラスのレスラーだ。

 丸藤正道にも能力を絶賛された遠藤に対しても、田中はいつもと変わらず強烈な打撃、さらにテーブルクラッシュダイブ。外国人ファンからの声援もベテランを後押しした。新日本プロレスの1.4東京ドーム大会に合わせ、年末年始には毎年、海外から多くのプロレスファンが日本を訪れる。かつてアメリカの団体ECWでも活躍した田中は、世界的な“レジェンド”なのだ。

 もう一つ印象深いのは、試合中の遠藤コール。田中が誰の目から見ても「強い」と思える試合ぶりを見せたからこそ「遠藤頑張れ」という雰囲気になったわけだ。遠藤のシューティングスタープレス、田中のスーパーフライをそれぞれがヒザで迎撃した場面など、スピードの面でも46歳が28歳と互角に渡り合い、最後は必殺技スライディングD。23分57秒、ほぼ動きっぱなしと言っていい試合だった。

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(HARASHIMAとはベルトをかけてのリマッチに)

 試合後の遠藤は「シンプルに強い。俺がキャリアの中で培ってきたものをすべてぶつけたけど、それを優に超えてきた」、「見ていた人には俺が勝つんじゃないかと思う場面がなかったんじゃないですか」と完敗を認めている。

 他団体所属ながらDDTの年内最終戦のメインで勝ち、D王優勝を決めた田中は1月26日の後楽園大会でHARASHIMAと対戦することになった。KO-D無差別級王座挑戦である。HARASHIMAはリーグ戦で唯一、引き分けだった相手。「一番を決めるリーグ戦だけど、引き分けがあるってことはまだトップじゃないんで」と田中。HARASHIMAのベルトを奪うことで、DDT真のトップを狙う。ただ、リーグ戦優勝やタイトル奪取だけがトップの条件だとは思っていないようだ。

「(トップを取って何がしたいか)聞かれたから言いますけど、上から下まで全員チャレンジャーに迎えてもいい。若い、クリクリ坊主の選手とやってもいい。全員倒した時が真のトップだと思ってるんで」

 おそるべきモチベーションの高さと言うしかない。遠藤のタイトルマッチ結果予想は「王座流出の可能性が高いでしょう」。リーグ戦優勝をかっさらわれ、さらにタイトルまで奪われては団体のメンツに関わるが、しかし田中がベルトを巻いたとしても、誰もが納得してしまうのではないか。

 田中はZERO1で常にハイクオリティな試合を見せているわけだが、DDTのリーグ戦にエントリーし、普段は当たらない相手と“勝負性”の強い試合を重ねたことで、その「シンプルに強い」魅力があらためて伝わったと言うこともできる。実績はレジェンドの域、しかしやはり田中将斗は最前線のトップレスラーだ。

文・橋本宗洋

写真/DDTプロレスリング

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