1月10日のONE Championshipバンコク大会に、日本から3人の選手が出場する。このうちムエタイルールの試合に出場するのが健太だ。キック・ムエタイ部門も充実しているONEには、日本からも強豪キックボクサーが多数、参戦。健太はその中でもとりわけキャリアが豊富だ。ヒジ打ちありのキックボクシングルールはもちろん、ヒジ禁止のKrushでもチャンピオンになり、シュートボクシングでも活躍した。
そして現在はONEに参戦中。ここまで1勝2敗の戦績で、敗れた相手はいずれも強豪ムエタイファイター。そして1月10日のバンコク大会でもタイのトップ選手、センマニー・サティアンムエタイとの対戦が決まった。
「厳しいマッチメイクだなぁと思いますね、自分のことながら。俺、いつからタイのランカーになったんだろうって(苦笑)」
褐色の肉体美を誇り、勝利後はリング上でマッスルポージングを決めることでもおなじみの健太。もともと、キックボクシングにおける一大テーマ“打倒ムエタイ”にさほど重きを置いてはいなかった。曰く「目立てればいいやと思ってたんで」。とはいえ「立ち技でヒジありルールでやる以上、ムエタイは避けては通れない」とも語っている。
「ムエタイはレベルが高いし歴史もある。選手のハングリー精神も強いです。立ち技では絶対的存在じゃないですか。そういうムエタイのトップの選手が、ONEという世界に発信する大会に出るようになって。ファイトマネーも違うでしょうし、モチベーションが上がってると思いますよ」
ONEでタイ人と闘ってみて、ムエタイのリングとは違うものを感じたと健太は言う。
「みんなガッチガチですよね」
よく言われるのは、ムエタイは1、2ラウンドは様子見、3、4ラウンドで勝負してポイントを取ったと確信すれば5ラウンドは“流す”という闘い方だというもの。これはタイでのムエタイがギャンブルになっていることも関係しているという。だがONEムエタイでは戦略も変わってくる。
「僕はそれで失敗したところがあって。従来のムエタイが頭にあってスロースタートになってしまった。ONEではタイ人が1ラウンドから声出して攻撃してきました。1、2ラウンドはガンガン攻めて、勝っていたら3ラウンドは流す。ONEムエタイはオープンフィンガーグローブなので、掴みやすいというのもあります。首相撲のロックが強くなるんですよ」
今回は、そんなONEでの闘いへの対策も考えての大一番になる。
「大事なのは1、2ラウンドをいかに取るか。最初から全力でギアを上げていきます。センマニーに“攻略法”なんてものがあるなら教えてほしいですよ(笑)。全部出し切る、それだけです。といって玉砕するつもりもない。“当たって砕けろ”は僕の美学ではないので」
これまで数多くのリングで、さまざまなルールで闘ってきた経験は、ONEでも活きるはずだ。「選手としてはスマートな方だと思います。“このルールならこれをやれば”とやるべきことが分かるタイプかなと」。狙うは、ONEという世界の舞台での大番狂わせ、そして渾身のポージングだ。
「それができたら“プロフェッショナルシスト”としてエクスタシーですね。楽しみにしてください」
文・橋本宗洋