試合が決した直後、返り血を体中に浴びた勝者が絶叫。その凄まじい迫力と殺気を感じとったファンが「ガチでヤバイ感がある」「こわすぎる」など騒然となる場面があった。
「触っちゃいけない存在」「このヒゲ絶対強い」
試合を放送したAbemaTVの解説陣が、風貌から危険な雰囲気を察知していた。そしてUFC王者であるヌルマゴメドフの同郷・同門、さらに最強ファイターを量産し続ける格闘国家、ロシア連邦を構成するダゲスタン共和国からやってきたという“ヒゲ男”の強さは紛れもなく本物だった。
その名もレイモンド・マゴメダリエフ(ロシア)。1月10日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE: A NEW TOMORROW」に参戦したマゴメダリエフは、ジョーイ・ピエロッティ(アメリカ)をヒジの猛攻で大流血に追い込み、1ラウンドで圧倒的な勝利を収めた。
ロシア・ダゲスタン共和国出身と聞けば総合格闘技ファンなら興味を示すだろう。現在UFCで絶対的な強さを誇るハビブ・ヌルマゴメドフがダゲスタン出身であり、イーグルスMMAの同門だという。彼の大ブレイクで「ダゲスタン=戦闘民族」というイメージが定着しつつあるが、事実サンボ、レスリングのメッカとして知られるこの国は、子供たちが幼い頃から何らかの格闘系のスポーツに触れ合いながら大きくなる。つまり、自然培養された戦闘民族といえる。
ゴングと共に蹴りをキャッチされたマゴメダリエフだが、過去の試合において片足立ちの状態から相手をKOした実績もある剛腕ファイターである。その体幹の強さを発揮し、ガッチリとピエロッティを組み止めると至近距離から顔面にヒジ、ヒザを次々と叩き込む。縦、横と繰り出されるヒジの破壊力はかなりのものだ。
粘るピエロッティも辛うじて立て直して優位なポジションで組み直すも、あれよあれよという間に体を入れ替えられ、コーナーに固定されたままヒザの連打を被弾。さらに左右のヒジを数発被弾すると、ピエロッティはみるみる血に染まっていった。それでも攻撃の手を止めない戦闘民族は、無慈悲なフックを打ち込んでいく。
実況席も心配するほど、ピエロッティの頭部からは激しい出血が。試合は一時中断するも、再開後にマゴメダリエフのミドルキック、組み合って突き上げるようなヒザを貰い、ピエロッティは再び悶絶。2度目の中断を経て、タックルをマゴメダリエフにキャッチされるとフロントのニンジャチョークで力尽きタップアウトとなった。
返り血を浴びながら凄惨な試合を鮮やかな1本で制したマゴメダリエフは、鬼の形相でシャウト。その様子に視聴者からは「ガチでヤバイ感がある」「えげつねぇ」「凶暴な奴だ」「こわすぎる」といった声が上がっていた。