K-1ルールの団体戦・抜き試合で各チームがトーナメント戦を争う『格闘代理戦争 K-1 FINAL WAR』は、これまでのシリーズと同様、あるいはそれ以上にドラマチックなものになった。
18日に行われた決勝で対戦したのは、ゲーオ・ウィラサクレックが監督を務めるムエタイ軍団ゲーオーズと、最後にエントリーしたSKR連合。佐藤嘉洋、城戸康裕、梶原龍児の3人が監督のチームだ。
トーナメント開始前、最も未知数だったのが、このSKR連合。しかし、いざ試合をしてみると他のどのチームよりも輝いた。1回戦では古宮晴が番組初の3人抜きを達成。一人でチームの勝利を決めてしまった。快挙に加え、古宮は難聴で、リング上では“音のない世界”で闘っていた。同じ境遇の人に勇気を、そんな思いも持って闘う古宮の姿は大きな話題となった。
古宮は準決勝で大将として登場し、今度は2人抜き。圧倒的な存在感を見せる。しかし最後の最後、決勝戦で敗れる時がきた。
大将で登場した古宮は、まずゲーオーズの先鋒・大関敬真と対戦。大関はここまで2人抜き、古宮が3人目だ。それでも随所で強力なパンチを見せた大関は古宮のテクニックと渡り合い、延長戦にもつれ込む大接戦。結果は古宮の勝利となったが、この試合でSKR連合のエースは体力を削られてしまう。
続いて登場したのがゲーオーズの齋藤紘也。陸上競技で大学に推薦入学していたが格闘技に転身。大学の寮からウィラサクレックジムの寮に移り住み、ムエタイの英才教育を受けてきた。人生をかけて格闘技に打ち込んでいるだけに『格闘代理戦争』への思いも強い。しかも自分が勝てばチームが優勝というシチュエーション。
「ここで勝たなかったら自分が出る意味がない」
そんな決意で臨んだ古宮戦、齋藤は185cmの長身から繰り出すヒザで古宮を痛めつけていく。さらに齋藤はパンチでもたたみかけ、1、2ラウンドともにダウンを奪ってみせた。判定は大差で齋藤。得意のヒザ蹴りが、身長差もあってさらに活きた形だ。
敗れた古宮は号泣。ここまで6勝をあげたにもかからわず、最後の最後で力尽きた。その涙にもらい泣きする者もいた。勝者、敗者どちらにもドラマがあり感情移入できる決勝戦だった。そして彼らの闘いは、プロのリングへと続いていく。