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(得意の蹴りを放つ万喜だが山下はかわしていく)

 東京女子プロレスの今年初となる大阪大会(1月25日)で、注目の初シングル対決が実現する。山下実優vs万喜なつみの一戦だ。山下は団体一期生にして、頂点のタイトル「プリンセス・オブ・プリンセス」初代王者。計2度の戴冠で頭抜けた防衛回数を誇る。対する万喜は昨年1月からフリーとして東京女子に参戦。乃蒼ヒカリとのタッグで存在感を示しつつ、8月には新設されたインターナショナル王座の初代チャンピオンとなった。“アイドル系”としての人気も高いが、意地むき出しの激しい試合ぶりが最大の魅力だ。

 試合中のケガもありベルトを失った万喜は、今年の1.4後楽園ホール大会で復帰。試合を重ねる中で、マイクを握り山下との一騎打ちをアピールした。現状、万喜も山下もタイトルホルダーではない。ノンタイトル戦の実現をマイクでアピールするのは異例だ。18日には、6人タッグで前哨戦も行なわれた。これもレアだと言っていい。

 万喜自身も団体側も、この対戦を“タイトルマッチ級”と認識しているということだろう。もちろん本人たちにもファンにとっても待望の試合だ。昨年の1月5日、両者は初めてタッグマッチで顔を合わせた時から睨み合いを展開。特に万喜は、常に「気になる相手」として山下の名をあげてきた。対戦表明した際には「本命」という言葉も使っている。

 その理由は「気持ち的にもスタイルの面でもバチバチやり合える。ベルトを持ってる、持ってないに関係なく、山下さんは東京女子の顔、エースという気がするので」。山下に勝てば、東京女子の中での“ランク”を上げることが可能だが、むしろそれ以上に山下の実力を体感したいのだろう。そのことで得るものがあると確信しているのだ。

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(試合後、厳しい言葉を投げかけた山下)

 1.18板橋大会の前哨戦では、両者の直接的な決着はなし。辰巳リカが原宿ぽむをフォールしている。山下と万喜のマッチアップは短い時間だったが、その中でもスピーディーな蹴りの攻防を展開した。印象的だったのはクリーンヒットが少なかったこと。お互いの技を読み、かわし合っていたのだ。それだけ意識し、研究しているということか。試合後、山下はこんなコメントを残している。

「このままだと簡単に私が勝っちゃいますよ。特別なカードだと思ってたけど、そうじゃないのかなって。ちょっとガッカリさせられました。でもこんなもんじゃないというのを大阪で見せてほしい」

 万喜はこう語った。

「今日は悔しかった。でも今日の自分はあいさつ程度。シングルでやったら、自分でも分からない何かが出てくると思う。そうなったら負けません」

 山下と1vs1で闘うことで何かが生まれる、何かが変わると万喜は感じている。山下が抱いた“もの足りなさ”は払拭されるのか。結果も内容も読めないからこそ楽しみな一戦だ。

文/橋本宗洋

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