「正直ヤバいところにきた」内藤大樹が鈴木博昭と描くONEでの格闘ロマン
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 アジア各国でビッグイベントを開催するONE Championshipでは、MMAだけでなく立ち技(キックボクシング、ムエタイ)の試合も数多く組まれている。日本からもトップ選手が次々に参戦。シュートボクシングで日本王者になった経歴を持つ内藤大樹は、フライ級で3連勝を収めている。

 内藤の兄弟子で、現在は内藤が所属するジムBellwood Fight Teamの代表を務める鈴木博昭もONEで活躍中。二人三脚で世界に挑んでいるわけだ。彼らの拠点は愛知県豊橋市。もともと所属していたジムから鈴木が離れると、ほどなくして内藤をはじめとする後輩たちもついていった。

「最初は体育館や公民館で練習してました。そこに内藤も合流して。自分一人ならどこで練習しても大丈夫だと思ってたんですが、若い子たちが一緒にやりたいというのでジムを作ろうと。フリーになる段階で東京に出たり、海外のジムに所属することも考えたんです。でも仲間たちを捨てることができなかった。これは弱さなのかもしれないけど、僕はそれを選びました」(鈴木)

 内藤にとって、鈴木との練習こそが格闘技のベースになっている。

「鈴木さんにミットを持ってもらうのが一番、自信になります。これがなくなったらどうなるのかという感じですね」

 鈴木の記憶では、セコンドにつけなかった試合、会場で一緒にいられなかった試合での内藤の戦績はよくないという。KO負けした一昨年の那須川天心戦がそうだった。

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「大事な時に一緒にいてあげられなかった。ONEではそういうことがないようにしたいです。ついてきてくれた若い子たちのためには、すべて自分が最優先というわけにはいかないと思ってます」(鈴木)

 とりわけ内藤は、精神面が試合に大きく影響する。ノッている時は「尋常じゃない強さ」(鈴木)を見せるのだ。その精神的支柱が鈴木なのである。内藤がONEに出たいと思ったのも、鈴木のセコンドで大会を体感したことがきっかけだった。

 2月7日のジャカルタ大会で、内藤は強豪サバス・マイケルと対戦する。この試合をクリアすれば、さらにレベルの高い相手との試合が組まれるだろう。アジアの格闘技イベントであるONEには、ムエタイのビッグネームがひしめきあっている。

「一歩引いて見ると、正直ヤバいところにきたなと(苦笑)。その中でどう自分が勝ち上がっていくか。それはモチベーションになりますね。日々の練習から気持ちが違います」(内藤)

 独自のルールと世界観を持つシュートボクシングでは、ベルトを巻くと次のモチベーションを見出しにくくなる選手が多い。内藤も「僕の階級は那須川選手がいるので目標になりましたけど、それ以外の面は難しかった」と言う。だが今は、周りに強敵しかいない状態だ。

「世界の舞台ですから。世界中の人たちに“強い日本人がいるぞ”というのを見せたい」

 しかもその日本人は、豊橋という地方のジムで汗を流しているのだ。「規模は大きくなったけど、やってることは変わらないんですよね」とは鈴木の言葉。

 豊橋で練習し「東京の選手にも負けてないってところを見せてやる」と意気込んでいたのが少し前のこと。今は豊橋から世界を見据えている。乗り込む場所が変わったが“地元で強くなる”ことへの意識は強い。

「自分がケージで闘うことになるとは思ってなかったです。オープンフィンガ―グローブも。でも僕には合ってる気がしますね。どんどん殴りにいくスタイルなので。拳の衝撃が直に伝わるんですよ。殴るほうも痛いんですけど、相手はもっと痛いので」(内藤)

 豊橋から東京、そして世界へ。気後れはまったくない。

文/橋本宗洋

【視聴予約】7日19時30分~ 人造人間18号が出陣!? ONEジャカルタ大会

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