2月7日のONE Championshipジャカルタ大会は、松嶋こよみにとって再起戦の舞台となる。松嶋は昨年8月、マーティン・ニューイェンのONEフェザー級王座に挑戦。2ラウンドTKOで敗れている。試合間隔が半年あいたことで、自分を見つめ直すこともできたそうだ。
「タイトルマッチの前の試合が6月で、タイトルマッチが8月。短い期間だったんですけど断ったら次のチャンスがいつになるか分からないので受けました。練習も含めて、かなりツメツメでしたね。今はいろいろリセットできました。自分を作り直した感じです」
ニューイェンとのタイトルマッチでは「自分のいい部分にも悪い部分にも気づくことができた」と松嶋。
「いくら自分が打撃に自信があっても、それ以上のものを持っている選手がいくらでもいる。強い外国人と闘うっていうのはそういうことなので。その中で殴り合わなきゃいけないし、テイクダウンを取らなきゃいけない。そこで大事になるのは精神面だなと気づきました」
あらゆる局面、時間帯で相手を圧倒して勝つことができれば、それに越したことはない。しかしそううまくはいかないのが世界の舞台だ。
「自分がいい状態じゃなくてもどう闘うか。タイトルマッチの後は、そこを意識した練習をしてきました。前は“いい状態の自分”をイメージして練習してたんですけど、今は悪い時、攻められてる時や心を折られそうな時を考えてやってます。たとえばタイトルマッチの1ラウンド、僕が圧をかけても向こうは(反撃を)狙ってきた。そこから2ラウンドに僕が圧をかけられて負け。僕がやったのは“逃げ”のタックルでした。これからはそうならないためにも“やられてる状態”にも意味があると考えて練習してます。試合では強みだけを出せるわけではないので」
世界の舞台で、日本人との試合とは違う感覚もあった。
「フィジカルとは違うのかもしれないですけど、自分の攻撃が効いてるのかどうか分からない感じがします。日本人との試合では、自分の攻撃で相手が嫌がってるなというのが分かる。でも外国人は何を嫌がってるのか分からなくて、それで自分も焦ってしまうところがあるんです」
そういう面でも、タイトル戦後に重ねてきた練習が活きそうだ。2.7ジャカルタ大会で対戦するのは韓国のキム・ジェウォン。連勝中で勢いに乗るストライカーだ。
「若さの勢い、思い切りのよさがありますよね。自分はそこに呑まれてはいけない。勢いに対してどう闘うか。前回の反省点が生かせるかがカギになると思います」
勢いに圧倒されかけた時にどう耐え、反撃していくか。キムは強敵だが、成長度合いをはかる上で申し分のない相手とも言える。
「向こうは、僕が打撃で下がってくれると思ってるでしょうから。そこでどうするか。タイトルマッチで自分が味わった経験を、今度はキム選手にさせたいですね」
文/橋本宗洋