アメリカ大統領選に新星、ブティジェッジ氏の強みとは?民主党はトランプ大統領に勝つことはできるのか?
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 スマホアプリの不具合で集計が大幅に遅れるという異常事態に見舞われた、アメリカ中西部アイオワ州の野党・民主党の党員集会。若者からの絶大な支持を誇り各種世論調査の平均でトップを走っていた急進左派のバーニー・サンダース氏、オバマ政権で8年間副大統領を務めたジョン・バイデン氏、“超富裕層”への課税を主張するエリザベス・ウォーレン氏を抑えて首位に立ったのは、ピート・ブティジェッジ氏だった。

 インディアナ州サウスベンド市出身のブティジェッジ氏は1982年生まれの38歳。地元の市長を2期務め、先月退任したばかりだ。ハーバード大学とオックスフォード大学を卒業。スペイン語やノルウェー語など、8カ国語を話すという。敬けんなカトリック教徒で、中道派として“分断”ではなく“団結”を訴えているほか、同性愛者であることを公表、夫と共に選挙活動を行ってきた。

アメリカ大統領選に新星、ブティジェッジ氏の強みとは?民主党はトランプ大統領に勝つことはできるのか?

 ブティジェッジ氏と同じハーバード大卒のお笑いタレント・パックンは、「アメリカ人にも“Buttigieg”は発音しづらいので、だから“Pete”と呼んでくれと言っている。エリートのように思われるかもしれないが、8カ国語が喋れるからと言ってエリートではない。アメリカにおける本当のエリートは、一流私立高校卒とか、親が超お金持ちとか、政治家の二世、そういう人だし、政界においてはむしろ“けなし文句”にもなる。特に共和党支持層は田舎の人たちで、我々一般人の気持ちが分からないということで、エリートに対して不信感がある」と話す。

 「その点、ブティジェッジは頭はいいけれど、インディアナの中流階級出身。ウォーレンも労働階級出身だが、ハーバード大学教授ということでレッテルを貼られて損している。だからブティジェッジが民主党の候補になり、大統領になる可能性もある。心配材料としては若すぎるということと、最終的な肩書が元市長ということ。人口で言えば石川県白山市くらいの都市の若い元首長が、いきなり総理大臣を務められるだろうか」。

 国際ジャーナリストの小西克哉氏は「トランプ大統領もギャグできちんと発音せず、“ブティ・ギギ”と呼んでいる」とした上で、「50年代にアドレー・ユーイング・スティーブンソンという偉い先生が共和党候補として出たが、結局ダメだった。やはり、ただ単に頭がいいだけだと国民が怒ってしまった。その点、ブティジェッジは保守的な州の出で、軍隊の経験もある。一方、LGBTを打ち出すことで左のポイントも取れる。彼はそのバランスをうまく押し出している。政策スタンスで見ても、穏健中道はバイデンとブティジェッジで、左がサンダースとウォーレンだが、この1年でブティジェッジはバイデンの方に寄って行き、うまくポジショニングを決めている」と指摘した。

アメリカ大統領選に新星、ブティジェッジ氏の強みとは?民主党はトランプ大統領に勝つことはできるのか?

 ネット上にはブティジェッジ氏がLGBTを公表している点が殊更クローズアップされることに疑問の声もある。

 パックンは「選挙戦略でカミングアウトしたわけではない。市長1期目の時、ものすごい葛藤があった。インディアナ州はものすごく保守的な州なので、落選するかもしれないという覚悟でカミングアウトした。そして80%の得票率で再選した」、小西氏も「トランプもアイデンティティ政治をやっているし、それなしに当選するということはあり得ないし、色々な要素を込みでやっていく。ブティジェッジも戦略としてアイデンティティ政治をやっている部分もあるが、それをギラギラ出しているわけではないし、かなり時間をかけてメディアにパーソナルヒストリーを語っていった」説明した。

 また、他の3候補はどうなのだろうか。パックンは「政策が1番洗練されているのはウォーレンだ。サンダースは引き出しが少なく同じ話題ばかり言っていて、あまりインテリジェンスのある答えが出てこない」とコメント。小西氏は「本選の11月までの間に、どの段階でどのぐらいの政策を出してくるかも戦略のうちだが、ウォーレンは自らプランのディテールを言いすぎてしまい、ボコボコに突っ込まれて不利になってしまった。また、サンダースは70年代から政策が変わらない。ただ、ブティジェッジも政策が精査されていないし、現時点ではよく分かっていない部分もある」とした。

アメリカ大統領選に新星、ブティジェッジ氏の強みとは?民主党はトランプ大統領に勝つことはできるのか?

 気になるのは、民主党の候補者が最終的に勝利できるのかという点だ。

 パックンは「トランプがヒラリー・クリントンに勝ったとき、本人も含めてびっくりした。勝利宣言のスピーチを書いていなかったくらいだ。ただ、トランプの何がうまかったかというと、民主党が左から真ん中にシフトした分、左がちょっと空いていた。保護主義がずっと民主党の政策だったのに“保護主義を俺がやるぞ”と言って、アメリカファーストの政策で労働者階級を民主党から引き剥がして共和党にしてしまった。この4人は誰がなってもいい大統領になれるとは思うが、果たして本選で勝てるかといったら未知の世界だ」と説明。

 小西氏は「総じて民主党は一長一短だ。70代3人と30代ということで、ちょうどいい感じの40代、50代がいない。やはり民主党はこの40年くらい、戦略で失敗してきている。80年代のレーガン革命後にリベラル派は対抗する政策をなかなか見つけられなかったし、90年代には大統領を8年やったビル・クリントン、そしてヒラリー・クリントンも右に寄っていった。さらにオバマも真ん中ぐらいでやってきた。それがダメだったと言っているのがサンダースとウォーレンで、一気に左の方の政策パッケージを出してきた。ブティジェッジがどういうポジションを取るのかは未知数だが、今の民主党には真ん中に誰もいない」と指摘。「ペンシルベニアからオハイオ、ミシガン、ウィスコンシンなど、ブルーウォールと呼ばれる地域で民主党を応援してきた白人の労働者階級たちがなぜトランプに行ってしまったかというと、民主党が右に行ったからだ。その見放された人たちが“トランプは我々のことを考えてくれている。あの人しかいないよ”と思うようになった。民主党の責任は大きい。民主党の人はブティジェッジだ、サンダースだと言うが、現時点では非常に厳しい。しかし、70年代のカーター、90年代のビル・クリントン、そして2000年代のオバマと、大化けする候補、有色人種系にも受ける候補が出てくれば勝てる可能性がある。ブティジェッジがそうなれるかどうか。民主党が彼を育てることに成功するかどうかだ」と話していた。

 民主党では2000年以降、アイオワ州の党員集会を制した者が最終的な大統領選候補者となってきた。しかし、混乱が続く民主党の候補者選びは7月の全国大会まで続く見通しで、小西氏は「50州の予備選のうち、今回のアイオワは最初の戦いだ。来週はサンダースが非常に強いニューハンプシャー州だし、その次は黒人、マイノリティが支持するバイデンが強いサウスカロライナなどの南部に行く。そういう特徴があるから、日本から見ていても面白い。次々に風景が変わってくる」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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