新型コロナウイルス対策でマスクが高額転売も…専門家「予防効果にエビデンスはないが、免疫力の低い人は着用を」
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 新型コロナウイルスの感染拡大について、トランプ大統領との電話会談で「病気との戦いを勝ち抜く自信と能力がある」と自信を覗かせた中国の習近平国家主席。しかし湖北省内ではマスクをはじめとした医療物資が間もなく底を尽きる状況にあるという。

 マスク不足は中国に限った話ではない。東京都内のドラックストアなどでは売り切れが続出、宮城県気仙沼市では災害時に備えて避難所に備蓄しているものを活用し、妊婦を対象に無料でマスクを配布した。また、産婦人科などを抱える千葉県のクリニックの関係者は「残り500枚程度で、10日程度分しかない。ただ在庫がないからと使用頻度を落とすこともできない。なくなったらガーゼやキッチンペーパーで代用しようかと」と話している。

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 業界団体は「1月末時点で10億枚の在庫が底をついた。不足解消の目途はわからない」としており、厚生労働省と経済産業省が増産を要請してはいるが、ある製造工場では通常の5~6倍以上の注文に対し24時間体制で土日もフル稼働させるも生産が追いつかない状況だ。

 こうした状況を受けて、ネット上ではマスクの高額転売が横行、フリマアプリ・メルカリでは「命を守りましょう!高い、安いは個々の基準ですので、欲しい方はぜひどうぞ!」というコメントとともに“30枚100万円”という法外な値付けをしている出品者も現れている。AbemaTV『AbemaPrime』には「気管支喘息の持病があり、常にマスクを着用している。高額転売はやめてほしい」「私も疾患があるが、他の人に着けるなとは言えない。それでも、少しでも融通してくれたら有り難い」といった声が寄せられている。

 ただ、マスクの効能に関してはWHO(世界保健機関)が「感染予防の有効性については明確なエビデンスはない」として「咳などの呼吸器病状がある人、その看病をする人、医療従事者」が着けるべきもので、「必要ない状況で着用すると誤った安心感を与え、手洗いなどを怠る可能性もある」と警鐘を鳴らしてもいる。

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 SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際には北京で対処に当たった元外務省医務官の勝田吉彰・関西福祉大学教授は「統計上で証明された効果というのはないが、自分が何らかの感染症に罹っている場合に、唾や痰などが飛ぶのを防ぎ、外に出さないという目的を達することはできる。その意味で、全くの無駄であるかと言えば、そうではない。それから統計には入ってこないことではあるが、マスクをすることによって手で顔を触る回数が減る。ウイルスが口、鼻、目の粘膜から入ることを考えると、キッチンペーパーでもなんでも顔を覆う意義はある。また、アメリカCDC(アメリカ疾病対策予防センター)とジョンズ・ホプキンズ大学が昨年出したデータによれば、普通のサージカルマスクを被った群と、プロ仕様のN95というマスクを被った群と比較した結果、インフルエンザの予防効果において有意差はなかった。これは医療従事者で比較したものなので、正しいマスクの付け方をしていた前提ではあるが、ある程度は効く、というエビデンスにはなる。ただ、これをもって完璧だという話にはならない」と話す。

 その上で勝田氏は「健康な人なら追い返すことができるかもしれないが、がん患者さんや白血病の患者さんなど、あるいは免疫系に異常をきたす病気の患者さん、さらに妊婦や高齢者の方々は免疫力が少し低めなので、コロナだけではなく、インフルエンザやその他の風邪のウイルスが入ってきた時にもらってしまう。やはり免疫機能が低下している場合、何らかの呼吸器症状がある場合はやはり着けるべきだと思うし、看護する人ももちろん着けたほうがいいと思う。そういう方々が必死になってマスクを探している時に“100万円だ”などと言われるとどんな気持ちになるか。もちろん気持ちだけの問題ではなくて、実際にリスクの高い問題。不足しているというのは、とてもまずいとことだと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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