先週5日、JR東日本が痴漢対策として痴漢を防止するスマホアプリの実験を実施すると発表した。そのアプリとは、画面タップを通じて痴漢被害を車掌に通報するというモノ。
使い方は簡単で、アプリを起動し、行き先と何号車に乗車したかを入力。痴漢被害に遭った時に画面をタップすると、通知を受け取った車掌が痴漢発生をアナウンスする。また車掌のタブレットに通知が入ると同時に、同じアプリを持っている他の乗客にも通知が届く仕組みになっている。
警視庁によると、電車内の痴漢行為は認知件数だけで年間266件。とくに被害が多発している埼京線の通勤時間帯で今月下旬から約1カ月間、実験が行われるという。JR東日本の深沢祐二社長は「痴漢は周りの人に知らせることができないということもある。そのハードルを下げて車掌に連絡していただいて、周りのお客様にもお知らせすることで防止していく効果があるだろう」とアプリ導入の経緯を説明した。
効果が期待される一方、「冤罪を助長するのでは?」という懸念の声もある。
2016年ミス・ワールド日本代表で起業家の吉川プリアンカが「痴漢をされたことは無いが、痴漢は絶対に嫌。痴漢アプリはいいが、推定容疑者になってしまうところも嫌だ。やってない人が容疑をかけられてしまう。その人のその期間にも価値がある」と私見を述べると、お笑いタレントの千原ジュニアは「あいつちゃうか? と犯人探しが始まってしまう」と応じた。
SKE48の須田亜香里は、自身が痴漢被害を受けた経験のある女性の立場から「痴漢に遭ったことは何度かあるが、怖くて声が出せない。降車時にその人の顔を見て睨むことしかできない。アプリとはいえ、声よりも大きなアナウンスで周りに知らせることになる。ボタンの重み(押すことへの重み)を感じる。アプリ自体に導入価値はあるが、ベストではない」と話した。
男性側の意見はどうか。「週刊SPA!」副編集長の田辺健二氏は「自分が乗っていた号で『痴漢が発生しました』となったら、気持ち的には動きたくなるが、動いたら疑われる。冤罪が起こらないとも限らない。課題はある」とアプリ導入には慎重な姿勢を示した。
この議論に対して「アプリに賛成」の立場を表明した弁護士の中川みち子氏は「痴漢はしつこいが、アナウンスがあった時点で普通なら痴漢を止める。被害がそこで食い止められるという点では意味はある」と主張した。(AbemaTV/『Abema的ニュースショー』)
【映像】全員が「推定容疑者」痴漢防止アプリの是非
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