2月7日にインドネシアのジャカルタで開催されたONE Championship「WARRIOR’S CODE」に出場した松嶋こよみ(パンクラスイズム横浜)が、キム・ジェウォン(韓国)に3ラウンドTKO勝ち。ボクサー出身の強みを生かし打撃で勝ち星を重ねて来た新鋭を、技術で上回るベテランが徹底的に封じ込めた。
松嶋は、昨年8月ONEフェザー級王者、マーティン・ニューイェンに挑戦し、2RパンチからチョークでTKO負け。試合後には本人も「気持ちが折れた」と語る敗戦からの復帰戦だ。
対戦相手のキムは韓国の若き新鋭。韓国のボクシングで名を上げ、総合の世界でも打撃の強さで10戦して6つのKOを奪い一気に駆け上がってきた。これまでも対戦したい相手に実績のある松嶋の名を挙げ、一気にタイトルへという思惑が透けてみえる。
敗戦を糧に自身を磨き半年ぶりにリングに戻って来た松嶋と、勢いのキム「レスリングvs打撃」。試合前のインタビューで松嶋は、落ち着いた口ぶりでキムに対して「舐めるな」と力強く語り、試合への闘志をみせていた。
1ラウンド、松嶋がローとミドルでキムと距離を取りながらのスタンド勝負。打撃の流れからタックルで押し込み簡単にテイクダウンするが、キムもバックを取り応戦。それでもスタンドでは松嶋がパンチを積極的に打ち込み、ヒザに反応してテイクダウン。打撃戦よりもレスリング勝負という戦術は明確だ。ロープを掴んで逃げようとするキムに対してリフトからリング中央で3つ目のテイクダウン。ラウンド後半にまだ体力のあるキムに立たれてしまうが、松嶋は自分のテンポでローやサイドからの関節蹴り、強い右フックなどなど打撃でも優勢に試合を進める。
2ラウンドに入っても打撃で積極的に松嶋が試合をリードする。強い右ストレートを2発当て。キムのヒザをキャッチしてテイクダウンしジワジワと組んでスタミナを奪い、至近距離で組んでヒザを叩き込む。スタンドでの打撃に自信のあるキムが前に出るが、松嶋は身体を接近させ巧みに防御し、下がりながらフェイントをかけ、カウンターで強烈な右フックを当ててダウンを奪う。
3ラウンド開始と同時に前に出たキムに、再び松嶋が右フック。グラつくキムをロープに追い詰めるとダメ押しのパウンドを連打したところでレフェリーがストップ。ボクシングを武器にKO率60%の相手に松嶋が打撃戦でも完全勝利した。
今後期待したいのは「ニューイェンvs松嶋」の再戦だ。「ニューイェン1強」状態のONEフェザー級、次なる候補を考えるとゲイリー・トノン(アメリカ)、松嶋、タン・リー(ベトナム)などが続く。日本勢も高橋遼伍、中原由貴、山田哲也と実力者が充実している。誰が難攻不落の王者を倒すか注目の階級だ。
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