新型コロナウイルスで注目の「リモートワーク」、サボってもバレる?鍵は“可視化”と“フラットな組織”
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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、IT関連を中心にリモートワークを実施する企業が出ている。

 2014年の設立当初から「リモートワークを当たり前にする」を掲げているのが、人事や経理などのオンラインアシスタントサービスを展開する株式会社キャスターだ。「社内データにアクセス可能(PC持ち出し可、VPN化、クラウドでの管理)」「通信環境の確保(自宅Wi-Fi、会社で貸し出しも)」「最低限のセキュリティルール(フリーWi-Fi禁止。カフェでミーティングしない。プライバシーフィルタを使う)」「どこからでも同じ情報が取得できること(チャット中心のコミュニケーション。ドキュメント化)」といった環境を整備、現在は45都道府県・15カ国に散らばる従業員700人(契約社員、アルバイトなども含む)がリモートワークで働いている。

 取締役COOの石倉秀明氏は「宮崎県西都市にある酒蔵の2階に6~8席くらいの“本社”があり、数人の社員が入社時にパソコンを貸与する業務や、国や自治体に提出しなければならない会社関係の書類のうち、電子化されていないもの、捺印しないといけないものなどの処理にあたっている。だからほとんどの社員とは会ったことがなく、ウェブ会議をしたことがある社員以外、街中ですれ違っても気付かないと思う。それでも入社し役員をやって4年半くらいが経つが、今となってはどうして過去に出勤してたのかと思うくらい、何の影響もないと感じている。サービス業など、現場に行かなければ仕事ができない方は別にして、一般的なオフィスワークであれば、場所が変わってもほぼ影響なく仕事できるができると思う」と話す。

 従業員からは「通勤しなくていい」「満員電車からの解放」「転勤やライフステージの変化でキャリアを変えなくていい」「時間を効率的に使える」「人間関係のストレスが減少」「有事の際でも業務に影響が出にくい」などの評価がある一方、「運動不足」「保育園に入りにくいなど、社会制度が追いついていない」「社会的な誤解(ラクなのでは?サボるのでは?)」「洋服や化粧品などを買わなくなる」「『実は仕事してなかった人』はバレる」といった課題を挙げる人もいる。

 そんなキャスターで働いている社員たちについて、石倉氏は「もともとリモートワークをしていたわけではないし、特別なスキルを持って入社してきたわけでもない。遠隔で仕事をするので、さすがにパソコンが全く使えないと仕事にならないので、そういうテストをしたりするが、本当に普通の会社と同じだ。中には飲み会が好きな人もいるので、役員が全国を回り、その地域に住んでいる従業員と会う企画もある。そういう中で、“こんなに背が高かったんですか?”みたいに気づくこともあるし、飲み会の時の盛り上がりもすごい。逆に、会うということはこんなに貴重なことだったのかと気付く」と説明。

新型コロナウイルスで注目の「リモートワーク」、サボってもバレる?鍵は“可視化”と“フラットな組織”
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 気になる“サボり”についても、「また、モニタリングするよりも、信用が前提。クラウドの勤怠管理のツールで出退勤を記録してもらい、チャットに入力した“今から仕事を始める”“終わる”の差分を見ればいい。もちろんチャットをしているのはオフィスにいるのと一緒なので、残業についても確認している。チャットを返さないと仕事が進んでいかないのでサボってる暇はないし、仕事してなかった人はすぐバレる」とした。

 クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏は「リモートワークの本質的な課題は、平社員がマネジメント層に上がるきっかけが掴みにくいということだと思う。つまり、マネジメントや大きな意思決定は、表情や言語化されない要素が割と大きい。“いい”と言ってるけど本当は納得してないなど、そうした腹の読み合い、探り合いなどだ。その意味では、マネジメント層とプレイヤー層がはっきり分かれている会社ほどやりやすいと思う」と指摘。

 石倉氏も「うちはほとんど役職がない会社なので、ピラミッド型ではない。そして、普段の仕事のやり取りが全て見えるので、現場で何が起きていて、この人がどういう話をしていて、どこで話がずれてるのかといったこともわかる。その点で、リモートになった時の方がたくさんの人数をマネジメントしやすいと思う」と話していた。

 ナビタスクリニック理事長の久住英二医師は「私のところでは緊急避妊薬のオンライン診療をやっているが、やはりお互いに便利の一言だと思う。患者からすれば問診だけで済むような診療、話を聞くだけで終わるものなのに医療機関に来るのは負担。特に子どもが小さいお母さんや働く女性もそうだし、感染症が流行っている今のような時期などは、我々も出勤もしなくていい。子育て中のママドクターも家でお話ができる。精神科であれば体を触る必要がないし、高血圧の定期フォローアップも、医者が測ったってほとんど意味がない。医療業界は医師会が反対しているのでなかなか導入は進まない。スマホにつながる超音波、お腹の中を見たりする機械があったり。なぜそっちの開発を進めないで、画面を見るだけだからダメみたいな矮小な議論で終わっているのか不思議だ」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:リモートワークの方がサボりが分かる!? 実践企業が語る導入で見えてきたこと

リモートワークの方がサボりが分かる!? 実践企業が語る導入で見えてきたこと
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