2月28日に開催されたONE Championshipシンガポール大会に参戦した三浦彩佳(TRIBE TOKYO MMA)が、ティファニー・テオ(シンガポール)のパンチを浴び続けた末に3R終盤のパウンドでTKO負け。その試合を放送した現地の実況が「今夜、ミウラは何発のジャブを浴びたんでしょうか!?」と絶叫した。
ここまで三浦は、袈裟固めから肩固め(通称アヤカロック)という必勝パターンで3連勝を飾ってきた。柔道で培った投げと、勝ちパターンの締め技にこだわり続けて掴んだ勝利だが、今回の相手であるテオはこれまでとは勝手が違った。網膜の怪我からの復帰で1年4カ月のブランクこそあるが、女子ボクシングでシンガポール王者に輝いているテオの打撃の前に、成す術はなかった。
1ラウンド前半、ヒザなどの打撃を貰いながらも腕をたぐり寄せ得意の投げを狙う三浦。一度は外されるがハーフガード~袈裟固め~肩固めと必勝パターンに入るものの、テオの抵抗もあり極めきれずラウンドを終える。
2ラウンドも三浦が一本背負いを狙い続けるが、ラウンド序盤での疲労からか失速気味になり、テオの打撃を貰うようになる。組みにこだわり続ける三浦に対し、至近距離から小さなパンチを当てるテオ。パンチやローをことごとくもらうようになり、追い込まれた三浦にAbemaTVのスペシャルゲストである松井珠理奈が「彩ちゃん、頑張れ!」と悲痛な声をあげた。
解説を務めた青木真也も「独特の技術体系の選手、戦いが柔道過ぎる」と三浦のファイトスタイルについてコメントし、2ラウンド終了時も「完全にパニックになっていた。このような状況になるとこのラウンド中に修正するのは難しい」と冷静に不利な試合状況を分析。
さらに青木の「疲れているのでもう組めない」との断言どおり、3ラウンドの三浦は組むことができずに手詰まり状態。対して打撃に勝るテオは流しながら軽く当てていく戦術に変更し、ジャブのさし合いで三浦を常に一歩リードする。ゲストの那須川天心も「疲れているのが見えていて誤魔化す動きもできない(厳しい状態)」と絶体絶命を指摘。最後の力を振り絞りタックルを狙った三浦だったが、その流れでテオのパウンドを貰いラウンド終了間際に力尽きた。
試合後の三浦はダメージを考慮して車椅子で病院へ直行。しかし、所属チーム「TRIBE TOKYO」の長南亮氏は「鼻血がブーちゃん。でも鼻は折れていないしダメージは大した事ないです」と、ダメージが深刻ではなかったことを報告している。
ここまで我流のファイトスタイルを確立してきた三浦だが、初の敗戦で課題も明らかになった。ツイッターでは「結果が出せないのも勿論、やってきた事が出せなかったのが悔しいです。悔しいですが、甘くないって事を痛感しました。連戦だったので少し休みます。ただこれで終わるゾンビではないです。心身共に強くなって帰ってきます」と復活をファンに約束した。