「偽善者」「お金儲け」ボランティアや街頭募金に文句を言う人たちに知ってほしいこと
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 新潟県の焼肉店で月に数回、一人で好物のレバーを食べているという山崎光男さん。実は献血ルームの常連で、レバーを食べるのも、その日のための鉄分補給。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全国の献血イベントが相次ぎ中止になっていることから、スタッフは「血液は保存が効かないので、山崎さんみたいに継続して来て頂けると大変助かる」と話す。

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 25年前から始めた献血は、今では2週に1度は通うといい、この日で通算266回目。500回を目指し、これからも通い続けると話す。そして献血後に向かったのが、「菜工房ヤマダ」。ここでも、名物のレバカツを頬張っていた。

 山崎さんの社会貢献は献血だけに留まらない。地元のごみ拾い活動や除雪の手伝いも続けており、東日本大震災の際には泥のかき出しボランティアに駆けつけた。また、過疎化が進む地元を元気づけたいと、自作の“新潟県活性化ソング”をイベントなどで披露している。「裕福ではない家庭に育ち、単身で東京に出た。行く先々で困った時に助けてくれたり、アドバイスくれたりした恩を、何らかの形で返していきたい。そんな思いが根底にある」。

■「みなさんの善意で支援してほしいから」

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 「どんな偽善だろうが、やらないよりは良いと思っている」。そう話すのが、震災で行き場を失くした犬や猫の避難所運営のための募金活動をするNPO法人「青年協議会」の上村剛代表理事だ。

 30代前半の頃にはリヤカーを引き、野宿をしながら日本縦断・ゴミ拾いの旅をした経験を持つ上村氏。「熊本の米谷正勝という厳しい師匠がいて、行ってこいと。3年やったが、最初の半年から1年くらいは完全にやらされているという気持ちが強かった。腹減ったら食えと言われて、開けてみたらドングリだったり、掃除をしているときにゴミをぶつけられたり。いいことばかりではなかった。でも、行動していると、こんなに気持ちいいことなんだと変わっていって、“やらせていただいている”という感謝の心ができていった」。

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 年間の活動費は約3000万円。効率的かつ継続的に集めるための方法として行き着いたのが募金だったという。「“時給1000円でバイト代を募金箱に入れる”だったら、街頭募金をした方がいい。他に効率的な方法があるとも言われるし、クラウドファンディングなどもあるが、継続性を考えた時には街頭募金が一番効率いい」。東京や埼玉を中心に、毎日5カ所から10カ所で活動。自らも街頭に立ち集めた寄付金は、2月だけで220万円に上る。

 今も1日1回は文句を言われるのだという。「すれ違いざまに罵声を浴びせてきたり、活動を止めさせて30分も説教されたり。それでも言われる分はありがたいという感謝の気持ち。文句を言ってくる人にもありがとうと思いなさいというのがうちの教えだ」。

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 また、ガーナの貧しい子供たちのため、新宿で10年間にわたり活動しているというマンフィーさんも、「“自分のためにやっているんじゃないのか!”“なんで日本人がガーナを助けなきゃいけないのか?”と言われる。時々、募金箱を足で蹴られて壊される」と明かす。

 普段は中古車パーツの輸出業をしており、仕事が休みの日は朝9時から夜8時頃まで立っている。「2人でやれば、1日に大体1万円~1万5千円の間。私1人だと大体6000円~7000円くらい」。時給にすれば600円ほど。それならいっそ、バイトでもしたほうがいいのではないかと尋ねると、「自分で働いたお金じゃなくて、みなさんの善意で支援してほしいから」と話した。

■お金の問題になると“警戒感”も?

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 偽善。「本心からでなく、みせかけにする善事」(広辞苑)のことだ。しかし、山崎さんや上村さんのような活動に対しても、「基本は偽善だろ?」「所詮は自己満足」といった批判は後を絶たない。特に街頭募金については警戒心を持っている人も少なくないようだ。

 実際、番組が取材を進める中で出会った「千葉の台風被災者への支援」と銘打って募金を集めていた男性は、詳細について説明を求めても「ちょっと分からない。ちょっと…」と口ごもり、「私は集金しないので分からない」と、いくら集まったのかも団体からは教えてもらえないと話し、どこかへ立ち去った。

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 前出の上村氏は街頭募金への疑問について「今もほぼ認可制のような状況で、警察の道路使用許可書がなければできなくなっている。また、NPO界の言い訳ではないが、法律上、NPOは使ったお金を分類しなければならないが、その中には、私たちがテーマにしている犬猫はないため、災害支援や街づくりといった項目に当てはめているので、会計報告上は犬猫には1円も使われてないことになる。そのことでのクレームも来るが、役所からも“どういうことか?”と言われる板挟み状態もある」と説明。

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 社会問題の現場を訪れるスタディツアーや、ウェブメディアを有料提供するリディラバ代表の安部敏樹氏も「“偽善者”という罵声を浴びながら活動して11年目になる」と苦笑する。

 安部氏のTwitter質問箱には「偽善者ツアーや偽善者ジャーナルなんかなんの助けにもなりません。困っている人には、無関心の打破とか回りくどい偽善行動よりも、実利が助かります」「世の中には知名度がなくても地味に活動して世界の貧困や弱者のため活動している人はたくさんいるのに、なぜ派手な売名行為ばかりするの?さすが偽善者」「(安部氏の少年ソフトボールの指導を挙げ)簡単な手助けだけをして良い気持ちになっているだけ。難しい問題には取り組まず、口だけで語る頭でっかちの偽善者」などの声が寄せられているという。

 「だいぶ慣れたし、もっとひどいことも言われている。むしろ、言っていることはよく分かるし。大学3年生の時に活動を始めてから、最初の5年くらいは僕も関わってもらっている人もボランティアだった。その後、事業にして社員も雇うようになったが、旅行業の資格を取るためには、一種の場合は7000万円の供託金がかかる。人の命を預かることにもなるので、当然ながら専門性を持った人たちが責任を持ってやらなければいけない。記事についても、いい調査し、いいものを出すためにはいい記者がいる。そこの部分までちゃんと考えると、しっかり金儲けもしなければいけない。そういうことも知って欲しい」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:ボランティアは偽善なのか 街頭募金って...実際何に使っているの?

ボランティアは偽善なのか 街頭募金って...実際何に使っているの?
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