(ディーノの生ケツに爆破バット。衝撃的なフィニッシュだった)
DDTが開催した前代未聞、さいたまスーパーアリーナでの路上プロレスは、衝撃的にもほどがある結末を迎えた。
クーデターをしかけた男色ディーノたちが“大社長”高木三四郎を捕らえ電流爆破の刑で葬ろうというまさにその時、登場したのが大仁田厚だった。爆破といえばこの男、である。
場所はさいたまスーパーアリーナの入り口「Aゲート」前。しかし名曲『Wild Thing』で入場すれば、それがどこであろうと一瞬で大仁田ワールドになる。無観客でもカリスマはカリスマだった。
割って入った高木軍との闘いは電流爆破8人タッグマッチ。大仁田厚&男色ディーノ&クリス・ブルックス&MAO vs竹下幸之介&勝俣瞬馬&飯野雄貴&納谷幸男の顔合わせで、電流爆破初体験の選手も多い。それだけに“路上電流爆破”というシチュエーションはさらに混沌の度合いを増したのだった。
序盤から大仁田はイス攻撃、パイルドライバーでのテーブルクラッシュなどド派手に暴れまわったが、爆破バットを竹下から被弾。続いて高木が爆破され、ディーノは勝俣のミサイルキックを爆破バットで迎撃する。
屋外で鳴り響く轟音はあからさまに“事件”でしかなかったが試合は続行。最後は大仁田がフルスイングした爆破バットが男色ディーノの生尻にクリーンヒットし、この誤爆で失神したディーノから竹下が3カウントを奪った。
無観客試合では拍手や声援がないだけに選手のテンションが高まりにくいと言われるのだが、これだけ特殊な状況では無観客であることすら関係なかったか。そう思えるほどのアドレナリン過多な一戦だった。
これまでさまざまな場所で行なわれてきたDDTの路上プロレスだが、大仁田厚と電流爆破は劇薬中の劇薬だった。
時節柄『不要不急の路上電流爆破プロレス』と銘打たれたこの大会。自粛ムードの中で「何をやってるんだこいつらは?」というものではあったが、だからこそ凄まじいエネルギーを持っていた。筆者は現場で爆風を浴びながら、確実に何らかの免疫力が上がるのを感じたのである。
文/橋本宗洋
写真/DDTプロレスリング