ソフトバンクグループの孫正義社長が11日、新型コロナウイルス対策としてPCR検査100万人分を無償で提供するとしたツイートが波紋を広げている。
10日、「久しぶりのツイートです。新型コロナウイルスの状況を心配しています」と約3年ぶりにTwitterを更新した孫社長。「行動を開始します」と書き込み注目を集めていたが、その後「新型コロナウイルスに不安のある方々に、簡易PCR検査の機会を無償で提供したい。まずは100万人分。申込方法等、これから準備」と表明した。
PCR検査を巡っては、政府が6日から保険適用を開始し、3月中には1日最大7000件程度まで検査ができるようになるとしている。しかし、実際に検査されたのは1日1000件程度しかないとして、野党が追及していた。
孫社長のPCR検査無償提供はこうした状況を考慮したものとみられるが、ネット上では「医療崩壊になります。受け皿はどうするのか?」「韓国・イタリアで徹底検査して医療崩壊している先例は大事に受け止めたほうがいい」と批判の声が相次いだ。背景には、PCR検査の精度は100%ではなく「偽陰性」「偽陽性」が出るケースがあるほか、軽症者が病院に殺到すれば医療体制が追いつかず感染が拡大する懸念があるためだ。
こうした批判を受けて孫社長は「検査したくても検査したもらえない人が多数いると聞いて発案したけど、評判悪いから、やめようかなぁ。。。」と撤回を示唆。ソフトバンクの関係者によると、「あまりにも賛同者が得られなかったため、取り下げざるを得なくなった」と話しており、断念する見通しだということだ。
この騒動について、フリーライターの石戸諭氏は「やめていいと思う。そもそも検査をすれば、コロナウイルスの感染拡大を防げるかを考えないといけない。初期症状はかぜと見分けがつきにくい、軽症者もかなり多いとなると、いま政府がとっているような重症者にリソースを割く方針は正しいと思っている。検査をしてもしなくても対策は変わらないわけで、それならばリソースは適切に割くべき。優先すべき検査対象を決めて、医療現場の負担を増やさないように、軽症者は自宅療養で広げないようにするのが最善だ」と苦言を呈する。
その上で、孫社長に求めることについては「ソフトバンクグループが率先して企業としての範を示すべきだと思う。例えば、小学生の子供がいる社員のために休みを取りやすい環境をつくるとか、感染した社員が出た際に制度的にバックアップするとか。あとは、ソフトバンクだったらスマホの料金を下げてユーザーを直接的にサポートする方が、よっぽどみんなのためになると思う」と提言した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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