副業が社会に浸透しつつある中、サブ的な副収入ではなく、本業を複数持つ“複業”(通称・パラレルキャリア)という考え方が登場している。その“パラキャリ”こそが、令和時代を生き抜くために必要な働き方改革だと語るのが、「複業研究家」の西村創一郎氏だ。「会社だけに依存した生き方・働き方が限界を迎える中で、好きなことにチャレンジし、生き甲斐、働き甲斐を感じる。勤務先からもらう給料以外に収入源を持っておくことは、個人の生存戦略としても重要だ」。
株式会社エンファクトリーでウェブマーケティング支援を担当する清水正樹氏は、渋谷区某所でハリネズミたちと触れ合えるカフェを経営している。「ハリネズミが流行り始めていると若い子に聞いたので見に行ってたらやっぱりかわいくて。これは確かに流行りそうだと思って始めた」。開店後、すぐに軌道に乗り、年商は6000万円に上るという。「今までは1つの会社で1つの仕事を最後までやり続けることが美徳だった。しかし転職が生まれ、フリーランスが生まれ、複業が生まれ、働き方が多様化になり、自分に合ったキャリア選択ができる世の中になりつつある」。
「占い師・40%」「人材コーディネーター・25%」「カメラマン・10%」「映像制作・15%」「アクセサリー販売・5%」「オンラインサロン運営・5%」と、6つの仕事を掛け持ちし、パラレルキャリアを実践しているのが林知佳氏だ。「最初に始めたのが人材コーディネーターで、やりたいことをやっていたらいつの間にかこうなっていた。日中は人材の仕事をしていることが多く、占いは深夜、午後10時から午前2時ごろがゴールデンタイム。電話とチャットでやっていて、収入はこれが断トツだ」。
前出の西村氏は「まずは本業で突き抜け、そこで得た人気を元に、他のことにチャレンジしていく。あるいは会社員としてなかなか花開かないという時に、いきなり辞めて独立するのではなく、自分に向いていることを複業で探し、これだということで突き抜ける」と話す。「間違いなく2020年は複業が拡大する年になると思っている。個人的に注目しているのが“ふるさと副業”という仕組みで、人手不足に悩む地方の中小企業と、地方に貢献したい人材をマッチングするような動きが広がっている」。
ただ、好きなことを仕事にしてもなかなかうまくいかない人もいる。フリーライターのふくもりみほ氏は「連載が月に2、3本ある時もあれば、今は1本。月収は平均すると3、4万くらいで、ガスが止まってお風呂に入れず、1カ月、水シャワーを浴び続けたこともあった」と明かす。そんな彼女のパラレルキャリアは、地下アイドル。ただ、こちらも「めっちゃ調子悪い時だと月に2000円とか」ということで、生活のために飲食でアルバイトをしているという。「パラレルキャリアと言われることをやっているが、どちらも不安定な仕事なので、正直将来には不安」。
西村氏は「メリットもたくさんあるが、デメリットも多い。手を広げ過ぎてしまったり、寝る間を惜しんで夜に複業をやった結果、睡眠時間を削り、健康を害してしまうことも起こり得る。ちゃんと自己管理、健康管理ができる人でないとなかなかうまくいかない面もあると思う」と説明。林氏も「頑張りすぎて、占いだけで月に80万円くらい稼いだことがあったが、体調を崩した」と話した。
元経産省キャリアの宇佐美典也氏は「“やりたいこと“と“できること”と“世の中から求められること”が全て合致するというのは、すごく幸運だ。普通は、求められるけどやりたいわけじゃない、やりたいけどできるわけじゃない、という気持ちがある中で、求められることをやりつつ、やりたいことがなんとか仕事にならないかな、みたいなマインドだと思う」と指摘した。
お笑いコンビ「アリtoキリギリス」で芸人として活動を開始、今や俳優、ナレーター等、複数の顔を持つ石井正則は、写真家としても活躍を始めている。100台以上のカメラを所有する写真好きだったが、ライフワークとして撮り続けるハンセン病療養所の写真を集めた作品展を開催、このほど書籍化されることになった。「写真については“副業”の雰囲気ではあるが、個人的には3つあった方がいいとは思っている。カメラには三脚があるが、構造上、3本の脚が最も安定するらしい。僕もお芝居とナレーション、MC業、そしてお話しするお仕事の3つがあるので、こっちが弱まってもこっちが、ということで何とかなっている今の時代、1つのものに依存してしまうことの危険みたいなものは社会全体が感じていると思う。やはり色々なものを受け入れるマインドみたいなものはしっかりと持っておいた方がいいと思う。そして、やっぱり好きだから続けてこられた。好きでい続けられそうなものを見つけることもパラレルキャリアにとって大事なことではないか」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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