こんにちは。青木真也です。もともと引きこもりです。
なんだか雲行きが怪しいです。景気がいいときは好景気だとわからないもので、あとで思い起こして「あの時は景気がよかったんだ」とわかるのであって、そのときにわかっていたら株や為替で痛い目を見ることもなく、その見極めが勝負の分かれ目なのでしょう。
どうやらここ数年は2000年代にあった格闘技バブルほどではないものの景気がよかったようです。格闘技バブルのイメージが鮮明に残っているから、実感としてはなかったかもしれませんが景気がよかったのです。地上波放送もあって、ネット放送も充実して、格闘技が人の目に触れて、潤っていた時代だと思います。ほら。だって。そこまで考えていなくても、とりあえず格闘技でメシ食えたりしたじゃないですか。
さて! ここから! 一気に行くで! のタイミングではあったのですが、世の中全体の潮目が変わって、どうやら厳しい時代が訪れるような気がしています。もう現段階で感じている方はいると思うし、格闘技で生きていればいるほど、敏感に感じているはずです。
僕は2006年のPRIDE買収以降の格闘技冬の時代を生きてきました。生き抜いてきたとは聞こえがいいけれども、実際は格闘技が好きだから必死にやって、日々を生きてきただけです。大変なこともいっぱいあったし、今思い起こすと揉めなくていい揉め事ばかりだったけれど、揉め事自体はそこまで嫌いなわけでもないし、おかげで強く育ったからこそ、感謝しています。
時代に関係なく、ずっとやってきた強さが僕にはあります。
格闘技が好きだから、何があろうと格闘技で生きていく。タフとか以前に好きの強さだと思っています。最後は格闘技がどれだけ好きかが問われるのはいつだって同じです。
今はチャンスでもあります。僕はチャンスだと思っています。
今ほど自分の主義主張だったり、思想信念が問われるタイミングはないと思うし、自分たちが何を伝えたいのかが問われています。格闘技、プロレスは人の感情を揺さぶる。エネルギーが湧き上がってきます。人が生きる何かを伝えたいのです。だからこそ今がチャンスだし、今やらなくていつやるんだと思っています。形を変えてでもなんとかして伝えないといけない危機を感じています。
頭と身体を全部使って元気に押し進めよう。いつだって頑張ることは貧乏くじじゃない。いつだって頑張ることはかっこいいんだ。
文/青木真也(格闘家)