新型コロナウイルスの感染患者を受け入れるベッド数の確保が緊急の課題となり、医療現場は緊迫。常にウイルスと隣合わせの医療従事者もストレスを抱える状況になっているという。陽性が判明し都内の病院に入院した男性が、AbemaTV『けやきヒルズ』の取材に明かしてくれた。
ヨーロッパなどに滞在し、3月13日に日本に帰国した22歳の男性、Aさん。Aさんは羽田空港に到着した際の検疫で、新型コロナウイルスの感染が確認された。到着した際に発熱などの症状はなかったものの、旅行中や機内で体調の異変を感じていたという。
「最後の滞在地のベルギーで体調を崩して、ホテルで寝込んでいました。インフルエンザにかかったくらいのだるさと少し関節の痛みがあって、体は熱いんですけど寒くて毛布を何枚かかぶって寝る状況。風邪をひいた時に、少し鼻が詰まっているような感覚がして味が感じにくいということがあるじゃないですか。それのさらに上で、鼻の通りはいいのに香りも風味も何も感じない。帰国の2、3日前から味覚・嗅覚が使えないみたいなところがあって、機内食も何を食べているかわからない状況でした」
Aさんは滞在していたベルギーで発熱とだるさを感じ、帰国の際の機内で味覚や嗅覚の低下を感じたという。そのころ、症状として味覚・嗅覚の異常は指摘されていなかった。
22歳という若年層での発症。Aさんは羽田空港での検疫で陽性が確認された後そのまま入院となったが、肺炎の症状は出ていないという。4週間目に突入した入院生活の中で、病院の“ある変化”を感じていると話す。
「僕は病室の外には出られないので実際に目にすることはできないんですけど、入院患者も増えているという話を聞いたり、もともと感染症の病棟として使っていないところを一部開放して、僕みたいな軽症の患者を移したり入院させるような措置をしたりして、いま病院はバタバタしているというのは聞いたことがあります。病床が足りない状況にあるなか入院が長期化してしまっていて、本当に必要な方のために病床を空けられないのは大変申し訳ないと感じるところがあります」
患者の急増に伴い世界の国々が直面しているのが、医療現場の混乱。日本でも6日、東京都医師会が「医療的緊急事態宣言」を出し、病床不足や医療従事者が疲弊する現状に危機感をあらわにした。
「3週間くらい前は医療現場から『かなり厳しい』『これ以上は持たない』ということは聞いていなかった。しかし、ここ1週間くらいは『かなり厳しい』と。現場もドクターもナースもかなり疲れている。特に若い先生はかなりメンタルにも負担がきているという話を複数の病院から聞く。それなりに状況は変わってきた」(東京都医師会・尾崎治夫会長)
市中感染が拡大し、無症状でも感染している“隠れコロナ”が病院にいるかもしれない現状。感染の疑いのある患者への対応は慎重にできるものの、思いもよらない紛れ込みからの院内感染を医師会は危惧している。
次から次へと対応に追われ、いつ終わるかわからないウイルスとの戦い。都内の病院で入院を続けるAさんも、ストレスを抱える医療従事者の切実な声を聞いたという。
「基本的に看護師の皆さんは、検温とか僕たちに触れる機会がある時は防護服を着て、マスクもかなり厳重にされて接してくれるので心配はないと思います。病室に入室する際にはアルコールのジェルで手を消毒されているので、すでに新型コロナにかかっていることがわかっている人たちに対する接し方としては問題ないと思います。看護師さんからは、“いつ自分たちがウイルスを持ってもおかしくない状態”ということで、そこはかなりナーバスになっているというのはお伺いしました」
なお、Aさんはその後の2回の検査で陰性となり、7日にも退院するということだ。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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