安倍総理は7日、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に「緊急事態宣言」を発令した。実施期間は5月6日までの1カ月。その間、外出やイベントの自粛、学校や娯楽施設の利用制限などの要請を、対象となった都道府県知事の判断でできることになる。
休業要請の対象について、東京都の資料によるとバーや居酒屋、パチンコ店、インターネットカフェ、ホームセンター、理髪店などが含まれており、緊急事態宣言が出た場合速やかに要請されると思われていた。しかし、新型コロナ対策の特措法を担当する西村経済再生担当大臣は「理美容室、ホームセンターを利用制限の対象とすることは考えていない」と明言。すると小池都知事は一転、「国との調整が必要」として休業を要請する施設を示さず、対象となる業種や施設を検討し、10日に発表、11日から実施するとした。
休業要請は本来、都道府県知事の判断でできるはずだ。テレビ朝日経済部 内閣府担当の宇田川真洋記者は「理髪店やホームセンターを対象としないというのは安倍総理も会見で言っていたり、国の文書にもある手前、そちらの方が効力を持つことになる。国としては、小池都知事が理髪店の休業などを強硬に実行しようとしているのを内々に調整して、再考を促している。西村大臣と小池都知事が1日2回ほど電話をして、感染者数など数字のアップデートはしていたが、事業者の件に関しては連携が取れていなかったようだ。東京都は驚いているような状況」だと話す。
また、安倍政権は経済団体の声も重視しているとみられるといい、「全国理容生活衛生同業組合連合会という理髪関係の業界団体があるが、なかなか政治パワーがあると聞いている」と説明。その一方で、東京都知事選を見据えた思惑もあるといい、「普通に考えると、都道府県の知事より大臣の方が上。しかし、次の選挙が迫っているタイミングで、自民党としては小池都知事を推すことになると考えると、あまり強いことを言えないというのが西村大臣の難しいところだと思う」とした。
都の関係者によると、小池都知事がいま優先しているのは“スピード”で、国の要件を一部のむ形で早めに発表しようと動いているということだ。宇田川記者は「政府は東京都の基準が他県に影響を与えることも気にしている。例えば東京都の理美容室が全部閉まったら、東京都中の人が埼玉や神奈川、千葉に駆け込んで感染が爆発するんじゃないか、という意見も出ている。そういった意味で、7都府県が一枚岩になる必要がある」と指摘した。
(ANNニュース)