「予想つかないというか、今まで以上に忙しいし、これ以上忙しい思いはしないと思う。ついていくだけで精一杯」
PCR検査を行う医療現場の現状をこう訴えるのは、関西の病院で働く検査技師の20代女性。子どもを出産してわずか2カ月で職場に復帰したという。
「上司が体調を崩すほど忙しくなっていて、『とにかく戻ってきてくれないか』と何回も頼まれていて、それでもう断れないというか。上司にもだいぶお世話になっていたので、体調を崩したと聞くと戻らざるを得ない」
女性は出産後の体調が戻りきる前に職場に復帰。今回頼まれた業務が終わっても、感染リスクを考えて2週間は子どもや家族に会うことができないという。そんな状況の技師までがなぜ、復帰しなければならなかったのか。
「PCR検査は、検査技師全員ができる検査ではない。PCRの機械を持っている病院の機関というのも珍しいし、最近できた検査なので、若い検査技師しかできないというのも今回の検査不足にもつながっていると思う」
PCR検査の実施件数は、2月下旬の段階で1日1000件程度。4月に入り8000件近くまで増加したが、その分、以前はほとんど検査をしていなかった民間検査会社や大学、医療機関での検査数が増えている。
安倍総理は6日、PCRの検査を1日2万件に増やすため、体制を強化すると表明した。現在の倍以上の数字に、現場を知る技師は不安の声を漏らす。
「PCR検査は1検体当たり1時間かかる。PCRの機械は1つしかないので、物理的に(1日)24検体しかできない。ほかの保健所にも頼んで、頑張って100件くらい。機械を扱うにあたっても講習を受けないといけないので、その時間を取れるのか、それだけの検査技師を集められるのか。現実的ではないかもしれないし、導入も時間がかかるのではないかと思う」
検査を希望する人は絶えず、受けられない人からは不安の声が相次いでいる現状。それでもどうにもできない事情が現場にはあると訴える。
「検査を増やしてほしいとか簡易キットができたとか、簡易キットを導入すれば1日何百件もできるとか、『検査数が増えていないから患者数が増えてない』という不安もあると思うが、検査技師数というのは増やせないし、どれだけ講習を頑張ったとしても増える数は知れている。『検査、検査』という風になっているかもしれないが(すぐに)増えるものではなく、こちらとしても本当に検査はしたいが“できない”ということはちょっとだけご理解いただきたい」
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)
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