厚生労働省が4月中の開始を目指している新たな検査「抗体検査」。過去の感染を調べるものだが、新型コロナウイルスにどのような効果が期待できるのか。
現在行われている「PCR検査」は、体内にウイルスが“有るか・無いか”を調べる検査だ。これに対して抗体検査は、過去にウイルスに“感染したかどうか”を調べる。新型コロナウイルスは感染しても無症状の人が多いことが分かっているが、抗体検査によって自覚症状がなくても感染していたかどうかが分かるという。
アメリカではすでに一部の州で実施されている。米スタンフォード大学の研究者らが、カリフォルニア州サンタクララでボランティアの3300人を募集し抗体検査を行ったところ、全人口の2.5%から4.1%が感染していると推定された。これは確認された感染者の50~85倍の人数で、埋もれていた感染者も含め「すべての感染者の洗い出しが可能になる」ということになる。
感染症に詳しいナビタスクリニック理事長の久住英二医師によると、そもそも「抗体」とは、体内にウイルスが侵入して感染するとウイルスを攻撃するために体内で作られる物質で、血液中に含まれている。
抗体検査の検査方法は非常に簡単で、まず指先に針を刺して血液を一滴とり、検査キットに血液を付着させる。そして、薬剤をつけると15分で抗体の有り無しが判明する。抗体の有無を調べることで、抗体が「有り」と確認されれば、新型コロナウイルスに対する免疫ができている可能性があり、再感染する可能性が格段に低くなるという。
ただ、WHOは「どの程度の抗体ができれば再感染しないと言えるかは、まだ不明」として、現時点では慎重な姿勢をみせている。日本では、一定の地域で抽出した数千人から血液を採り、抗体を持つ人の割合を調べるということで、4月中にも開始される予定だ。
アメリカの国立衛生研究所では全米1万人に対して「抗体検査」を実施するとし、トランプ大統領は17日、「4月末までに2000万の新たな検査が供給できるようになる」と発言。またイタリアでは、すでに医療従業者向けの検査を開始。イギリスやドイツ、フランスでも大規模な検査を検討しているという。
アメリカやイギリスでは、抗体のある人に「免疫パスポート」といったような証明書を発行。自宅待機などの措置の対象外とする案も検討されているということで、日常生活に戻すことや現場復帰が期待できるということだ。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)
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