アメリカのCNNが、北朝鮮の金正恩委員長が手術を受けた後「重篤な状態だ」と報じ、世界に衝撃が走っている。
朝鮮日報によると、北朝鮮専門メディアが20日に「金正恩委員長が最近、心血管系の手術を受けた」と報道したと発表。北朝鮮内部の消息筋の話として、「金委員長が今月12日、病院で心血管疾患の手術を受けた。その後は近くに滞在中だ」と伝えている。さらに、朝鮮日報では、内部の消息筋の話として「術後、金委員長の経過が良好だ」とも報じている。
金委員長は、北朝鮮が民族最大の祝日と宣伝している祖父・金日成主席の誕生日「太陽節」(15日)に姿を現さなかったため、“身辺異常説”があったと朝鮮日報は報じている。ただし、韓国当局の見方は慎重で、関係者は「そのような話はない」と語っている。
金委員長の最近の活動は、12日に北朝鮮の国営メディアが相次いで報じた「朝鮮労働党の政治局会議」の主催などで、最高指導者の関連記事を通常1日遅れで報道する習慣を考えると、11日の出来事だと推定されるということだ。
金委員長の身辺異常説について、コリア・レポート編集長の辺真一氏は、「2012年に政権の座についてからほぼ毎年、異変説が流れる。特に金委員長は肥満であるということで、糖尿だとか心筋梗塞の疑いがあるということがずっと言われてきた。今年は新型コロナウイルスの問題を金委員長は非常に警戒していて、それでも11日に開かれた政治局会議に出てきた。ところが、翌12日の最高人民会議に出てこず、15日の太陽節も姿がなかったと。2月16日の父親の誕生日は参拝したのに、金日成主席を参拝しないというのはありえないことなので、“何かあったんじゃないか”というのが事の発端だと思う」と話す。
では、なぜこのタイミングで報道となったのか。「アメリカの偵察機が朝鮮半島で偵察活動を行っていて、金委員長周辺で電波に変化があったというような情報をキャッチしたのでは。あるいは、客観的な情報で15日に姿を現さなかったことなどから、“ありえないことが起きた”とこのような報道になったのではないかと思う。ただ、韓国政府は確認していないというかまともに取り上げていないことから、信憑性に欠ける部分はある」とした。
この件について、韓国大統領府の報道官は「最近、一部メディアが報じた北朝鮮の金正恩委員長の健康悪化説と関連して確認する内容はなく、現在まで北朝鮮内部に特異な動向も確認されていない」とコメントを発表している。
辺氏は「要は確認できていないということだろう。実際に韓国メディアは様々な情報を平壌内部や北朝鮮消息筋の話として流しているが、1994年に金日成主席が亡くなった時、2011年に金正日総書記が亡くなった時も、ある日突然、リ・チュニという有名な女性アナウンサーが喪服らしき姿でテレビの前に現れて、私たちは亡くなったことがわかった。ということは、北朝鮮がトップの情報を外部に流す、伝わる、漏れるということはありえないだろう。国営の朝鮮中央通信や機関紙の労働新聞で『金委員長に各国の指導者から祝電が届けられた』といった形の報道が流れていて、金委員長が重篤と言った報道が事実だったとしても、死亡という状況にはなっていないだろう」と分析する。
では、今後どのような動きが注目されるのか。「25日に朝鮮人民革命軍創建日という形で、何か金委員長に関する動静が伝わってくる可能性も考えられる。もうしばらくは様子を見たほうがいいかもしれない」とした。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)





