“withコロナ”の流れの中で企業が推し進めているリモートワーク。しかし同時に、デジタルツールを使いこなせない、そもそもネットのことが良くわからないなどの理由でリモートワークに適応できない中高年が“働かないおじさん”として、あちこちで槍玉にあがっているようだ。
『ABEMA Prime』の取材に、製薬会社勤務のレイチェルさん(仮名・30代)は「かなりパソコンが苦手。“エクセルが全然開かないです”と言って、実はウィンドウが小さいだけで、何重にも開いているのに気づいていないだけだった」「ウェブ会議のログインIDが書かれたメールを見つけられず、他部署の女の子に電話で一生懸命聞いているうちに会議が終わってしまった」と証言。保険会社勤務の鈴木さん(仮名・20代)は「7割をテレワークにしようという話が出ている中で、スカイプの設定もできないと。そして、ハンコを押すために出社している。むしろ出社したくてしょうがないんだと思う」と話した。
幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏は「本当にパソコンができないということであれば、勉強しろよというだけの話だが、実はホワイトカラーの4割くらいがそもそも必要のない人材で、それがこれから浮き彫りになるということだと思う。リモートワークは顔を合わせない分、評価をアウトプットでするしかない。つまり、“よく働いてそうだ”“よく顔を出す”“汗をかいてる”ではなく、“どのくらい成果を上げたか”という、アメリカ企業のような成果主義的だ」と指摘する。
「日本企業は“1万の成果のうち、5000は僕の分だ”というジョブ型よりも、“10人のチームで1万の成果を上げた”というようなメンバーシップ型が多い。そこでは確かに潤滑油は必要だし、飲みに行ったり、プライベートで付き合ったりするような“アナログ”との相性もいい。だからこそ、リモートワークに移行するのが難しい」。
元NHKアナウンサーのジャーナリスト・堀潤氏は「肩を持つわけではないが、ずっとソリティアばかりやっている上司がいたが、時々すごく良いことを言ったり、潤滑油的な役割を果たしたりするところもあった。これからは部長、課長といった肩書きではなく、個性や得意分野を共有していけるような組織作りをした方がよいのではないか。そうした時に初めて繋がれる部分もあると思う」と振り返る。「完全リモートで仕事をしているセールスフォースとGoogle、Appleのエンジニアたちにインタビューをしたことがあるが、実は辛い、終業後に飲んだり食べたりしながらコミュニケーションがとれる会社のエンジニアが羨ましいと言っていた。余白の部分を作ることで業務の効率を上げるという部分が、これからの経営者の手腕になってくるのではないか」。
自民党行革推進本部で規制改革チーム座長を務める小林史明衆議院議員は「コロナになって政治の世界が変わったと思ったのは、実はウェブ会議を使いまくっているということ。多くは私の事務所が相談を受けたが、50代、60代、70代でも、意欲があって何かやらないといけないと思っていれば、わからなくても挑戦するし、意外とできてしまう。案件がなくてもとりあえず週一はやろうよ、と集まって雑談するというのも、議員同士でも重要だなと思っている。むしろ、逆に若くても挑戦しない人はしない」と話す。
「今、国としては雇用調整助成金というのを出しているが、休んでいる間に教育訓練を受ければ補助が出る。つまり、意欲さえあればスキルを磨くことができるということだし、そういう人を評価すると会社が言えば、モチベーションも湧いてくる。そういうことを考えていきたい。“小学校につけていくマスクが白じゃないといけない”という問題が報じられていたが、人に感染させないためにマスクしようという話なのに、なぜ色を問うのか。何が本質なのか、何が目的なのかを議論して、合理的な答えを出せば日本は良くなる。日本人にはそういう本質的な議論が欠けていると思う。 会社が社員に提供できる価値ってなんだっけ、自分がこの会社にいる意味はなんだっけという議論も私は必要だと思う」。
テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「会社にぶら下がっているような人たちが生き残れなっていく世の中になることがイメージできてしまうし、そうなると、逆に優秀な人たちが集まって何かをやるには非常に動きやすい組織になると思う」とコメント。
箕輪氏は「格差が広がるというか、“自分に何ができるか”、がより具体的にならないと勝負できない世界になる気がする。少なくとも30代以下の人は、有名企業に入ればゴールの終身雇用、みたいな価値観をガラッと変えて、時代の変化に対応しきるんだ、そして永遠に変わり続けなければならないし、それができる人間が強いという価値観にならないといけない、ということだと思う」と訴えた。(ABEMA/『ABEMAPrime』より)
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