改めてチェックしたい競輪・出走表の「S・B・H」 展開予想の確度アップに
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 競輪の出走表にある「S・B・H」というアルファベットの欄。この数値の意味を知ると展開予想の確度がさらに増すという話をしていきましょう

・S…スタートの号砲が鳴った後、先頭誘導員の直後に付いた回数

・B…最終周回のバックストレッチラインを先頭で通過した回数

・H…最終周回のホームストレッチラインを先頭で通過した回数

 まず「S」ですが、スタートの号砲直後に先頭誘導員の直後に付くということで「スタート」の略だと思われるでしょうが、実際には「スタンディング」の略です。

▶映像:武雄 G3 初日 大楠賞争奪戦

 自転車競技で「スタンディング」というと、例えば静止状態から一気に加速する「スタンディング・ダッシュ」の略称であったり(ちなみにスピードが出ている状態からさらに加速することは「フライング・ダッシュ」と言います)、自転車に乗って静止したままけん制し合う「スタンディング・スティル」の略称であったりしますが、競輪では「ステンディング・スタート」の略称としての「スタンディング」になります。

 スタート台にセットした自転車に乗り、号砲と共に出て行く。立っている自転車に乗って静止した状態からスタートするので「スタンディング・スタート」。現在はフライングを防ぐためにピストルとスタート台は連動していて、号砲が鳴らないとロックが解除されないようになっていますが、昔は号砲と共に飛び出すタイミングが重要であり、スタートが決まって誘導員の後ろに付ければレースを有利に運べることから、奪い合うように飛び出していました。

 ロックされているといっても自転車を立てて静止した状態からスタートするので「スタンディング・スタート」であり、その「スタンディング」の「S」ということなのでしょうが、前述した自転車競技での「スタンディング・ダッシュ」は「スタンディング・スタート」とも呼ばれていたりしてややこしいので、「スタート」の略の「S」と思っていて問題ないでしょう。スタートの号砲直後に(誘導員を除いた)先頭に立つ回数だというのがわかっていることが重要ですので。

 そのスタート直後に誘導員のうしろに付くことを「Sを取る」と言うのですが、この回数が多いというのは何を表しているのでしょうか?

 Sを取るということは前団に構えるということになります。オーソドックスな3分戦で考えてみましょう。

(1)(2)(3)・(4)(5)(6)・(7)(8)(9)

(1)がSを取ってこのような並びで周回していたとします。恐らく最初に動き出すのは(7)のライン。そのまま(7)が最初に逃げて、その後ろから(4)がカマしてさらに逃げていこうとするところを(1)が捲りにいくというのが最も一般的なレース展開です。

改めてチェックしたい競輪・出走表の「S・B・H」 展開予想の確度アップに
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 つまり「Sを取る」というのは「捲りにいく」という意思表示であるのが基本となります。ただし、(7)が逃げようと後ろから来たところをつっぱって、(4)が来てもつっぱって、そのまま逃げていく、いわゆる「つっぱり先行」という戦略を考えた場合もSを取りにいくわけです。

 つっぱるのか? 引いて捲るのか?

 「決まり手」の数値を見てください。「逃」が多ければ先行意欲が高いということで、つっぱり先行する可能性が高いでしょう。逆に「捲」が多ければ、引いて捲る可能性が高いということになるのです。

 さらに着目すべきが「B」と「H」です。「B」が多いけど「H」が少ないという選手はホームでは前に出ない(=逃げない)けど、バックでは前に出てる(=捲っている)ということになるので、捲る可能性が高い。一方、「B」も「H」も回数が多いとなれば、すでにホームで前に出ていることが多いということになるので逃げる意欲が高いということになります……としましたが、これにちゃんと当てはまるのは33バンクのみで、400バンクでは直線の長さによって「H」と逃げの関係は微妙になりますし、500バンクでは逃げでも「H」では前に出ていなかったりします。概ね「B」>「H」の選手は捲り傾向にあり、「B」=「H」の選手は逃げ意欲強しというくらいで考えておきましょう。

 それよりは「逃」と「捲」の決まり手回数が重要。例えば「逃:捲:差:マ」=「7:2:0:0」で「S:B:H」=「10:14:12」という選手が(1)号車に乗っていたら、ほぼほぼ間違いなくつっぱり先行を選択するはずです。しかも競走得点や勝率も高く、本命に推されていたりしたら、そのまんまライン決着か、番手が強い選手なら差し目までになる可能性が高いでしょう。※上述のラインなら(1)(2)(3)か(2)(1)(3)まで。

 結論から言うと、「B」と「H」の数値はさほど重要ではありません。回数が多いほど強い選手にはなりますが、先行する選手なら自ずと高くなります(特に「H」は走っているバンクの種類と回数によるので一般化できません。なので「S」と「B」だけを掲載しているサイトや出走表もあります)。見るべきは「S」回数。まとめると……

 ☆「S・B・H」の数値がすべて高くて「捲」より「逃」が多い選手はつっぱり先行でそのまんまライン決着の可能性が高い!

 ということです。先行選手の「S」回数は確認するようにしましょう。

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武雄 G3 初日 大楠賞争奪戦
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