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(復活するIW19のベルト。封印前最後の王者が藤本だった)

 5月4日のビッグマッチ、横浜文化体育館大会が延期となってしまった女子プロレス団体アイスリボンだが、転んでもただでは起きないたくましさを見せている。

 恒例の道場マッチも開催できない状態だが、それならばと代替開催として無観客試合をネット配信。昨年末に引退したテキーラ沙弥をMCに、試合を終えた選手がそのまま実況席でコメントするなど“配信特化型”の大会となっている。

 対戦カードも気合いが入ったもの。雪妃真矢と鈴季すずのタイトルマッチ前哨戦が続けざまに組まれ、4月18日の大会では団体トップの選手同士、藤本つかさvs世羅りさのシングルマッチも実現している。そういう試合を組むくらい、この無観客道場マッチを大事にしているわけだ。

 藤本vs世羅は3本勝負。1本ごとにくじ引きでルールが設定された。1本目の「場外カウント4ルール」は藤本が取り、2本目の「相手を18回転させたら勝利ルール」はジャイアントスイングを得意とする世羅に軍配。この2本目でお互いの三半規管に極限までダメージを与えたところで、3本目には顔と体に「コロナ」の文字を張り付けた謎のマスクマンが登場。

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(激しくもバラエティ色のある独自の闘いを見せた藤本と世羅)

 藤本と世羅が“退治”して、3本勝負のトータルスコアが2-2という納得いくようないかないような結末に。世羅曰く「コロナってラリアットができるんですね……」。今だからこその試合だったのは間違いなく、また藤本と世羅が見せた攻防そのものも、さすがトップ選手というべき激しいものだった。

 さらに試合後、藤本が配信マッチでの新企画を発表する。インターネットレスリング19、略してIW19王座の復活だ。これは、かつてアイスリボンの別働部門として開催されていたUSTREAM配信番組『19時女子プロレス』から生まれたベルト。2011年に創設され2013年に封印されたが、ここにきて復活することになった。

 新王者はトーナメントで決める予定。試合は19分一本勝負、時間切れの場合はネット投票で勝ち上がりを決めるなど、さまざまなアイディアがあるようだ。

 この“ネット王座”復活は、配信への本気度の表れと言っていい。ただ試合を流すだけではなく、マッチメイクに凝るだけでもなく、チャンピオンが7年ぶりに増えることになるのだ。トーナメントを通じて、配信にふさわしい新たな魅力を発揮する選手が出てくる可能性もある。数か月前には予想もできなかった形で、アイスリボンがさらに活性化するかもしれない。

文/橋本宗洋

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