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 新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、漫画や雑誌を刊行している出版業界も直撃している。

 集英社は「週刊少年ジャンプ」編集部の社員が感染し、4月20日から27日に販売を延期。「Seventeen」や「MORE」といったファッション誌8誌を合併号にするなどで対応。人気作「鬼滅の刃」のコミックスも発売を延期した。また、講談社は「別冊少年マガジン」など5つの漫画雑誌1号分の刊行を延期。「姉フレンド」「ハツキス」など、5つの電子漫画雑誌も配信を延期した。

 さらに、週刊プレイボーイ(集英社)のWEBサイトで連載中の漫画「キン肉マン」については、20日分から約1カ月の休載が決定。作者のゆでたまごは原稿用紙に直接執筆するスタイルで、毎週数日、長時間にわたり籠もって大勢のアシスタントと指示をやりとりしながら作業することが、いわゆる“3密”すべてに当てはまるのではないかとして、休載を決めたという。

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 そんな漫画業界の人々を支援策とされているのが、政府が打ち出した「持続化給付金」だ。感染症拡大により特に大きな影響を受ける事業者に対し、事業全般に広く使える給付金を支給するもので、法人は最大200万円、個人事業主で100万円。支給対象は、新型コロナウイルスの影響で売上が前年同月比で50%以上減少している者、資本金10億円以上の大企業を除き、中小企業やフリーランスなどとなっている。

 人気漫画「ラブひな」「魔法先生ネギま!」などの作者で、日本漫画家協会・常務理事も務める赤松健氏は、こうした支援策を広く知ってもらうため、自身のサイトで発信している。たとえば、原稿料1ページ1万2000円、毎月40ページ連載という漫画家であれば、原稿料1万2000円×40ページ×12カ月=576万円が年間売上だ。仮に5月の収入が0円になると「前年同月比-50%の売上」に該当し、計算上では「年間売上576万円-(0円×12カ月)=576万円」となる。給付は、収入がなくなった月分だけの支給ではなく、年間売上に対して支給される、この漫画家の場合は、法人化していれば上限の200万円が受け取れる。

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 また、赤松氏は出版業界への影響について「まさか我々に関係するなんて思っていなかった。急に決まったことなんで、漫画家はみんなびっくりしていると思います」とコメント。さらに「原稿料が何十万、場合によっては100万を超えるものが、ポコっと1カ月なくなると、相当な痛手です」と語った。

 自身のようなベテラン作家であれば、まだ耐える余裕もあるが、駆け出し作家であれば、来月の原稿料が入らないだけでも一大事だ。「新人作家さんには致命的。(持続化給付金を)どんどん利用してほしい。12カ月分、一気にもらえる。それは返す必要はない、何に使ってもいい非常に便利な給付金」と、将来の人気作家が消えてしまう恐れを取り除きたいと、強く呼びかけていた。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

▶【動画】出版業界にも打撃が…新人漫画家の夢をつなぐ「持続化給付金」

「新人は致命的」人気漫画家訴え
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