ゴールデンウィーク期間中に「沖縄へ来る予定の方が航空会社の予約によると6万人余いる」とTwitterで明らかにした、玉城デニー知事。例年ならば“大歓迎”なはずの観光客などに対し、今年はこう言い切った。
「残念ですが沖縄は非常事態宣言の体制で充分なおもてなしは到底できません。離島を含め医療体制も非常事態です。どうか今の沖縄への旅はキャンセルして受け入れ可能な時期までお待ち下さい」
政府は「緊急事態宣言」の対象を沖縄も含めた全国に拡大し、その期間は5月6日までとしている。そして、この期間の帰省や旅行の自粛を強く求めている。
しかし、ふたを開けてみればゴールデンウィーク中に沖縄を訪れる人が6万人。玉城知事だけでなく、インターネット上では「沖縄に来ないで」とハッシュタグをつけた投稿が増え、危機感が広がっている。また、沖縄県在住の「せやろがいおじさん」ことリップサービスの榎森耕助も、美しい海をバックにした「大型連休中に沖縄に来ようとしてる人に一言」というYouTube動画で警鐘を鳴らした。
緊急事態宣言前後の人の流れ（Agoop提供、26日午後3時時点）を見ると、宣言前（7日）との比較で、東京駅（91.7％減）や品川（89.9％減）、新橋（87.5％減）などは、政府が求める“7～8割減”を上回る減少率となっている。一方で、六本木（66.8％減）や新宿（59.2％減）は7割に達していない。
人出の減少にややばらつきが見られることについて、臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「駅や一部の公園、観光地などは、報道されているところは人が減っている印象。これも“喉元過ぎれば熱さを忘れる”ように、報道されなくなると人が増えて堂々巡りになるのではないか。人の心を変えたり、往来を止めるのはなかなか難しいと改めて思う」との見方を示す。
また、自身が制作した感染予防の心理がわかる“コロナ対策チャート”を紹介。これは、それぞれの問いに「YES」「NO」を答えていくことで、自分が「無関心群」「関心あり群」「準備期群」「実行期群」「維持期群」のどの状態にいるかが推定できるという。藤井氏は「判定して何かを決めつけるという話ではなく、自己確認のために使ってもらいたい」として、それぞれについて次のように説明する。
「『無関心群』は、コロナ対策に関心がなく、行動も起こしていない状態。『関心あり群』は、関心はあるものの自分の現状や社会の情勢を再評価できるとよい段階。『準備期群』は、具体的な行動のプランを考えて備えている状態。『実行期群』は、実際に自分で行動に移したがまだ序盤というところ。『維持期群』は、前から行動を起こしていてそれを続けている状態。上から順にコロナ対策を実行に移せる心の状態がより伴っていると考えられる」
実際に人の流れは減っていることから、すでに多くの人は外出を自粛し「実行期群」「維持期群」に当たるとみられる。その状態をさらに維持するために必要なこととして藤井氏は「この群はコロナ対策を自分の新しい生活として位置づけ、行動を変えていっている。ただし、これを維持するためには、変化に対する何らかの心理的報酬が必要。内発的に『自分は大切な命を守っている』『感染拡大を防いでいる』ということでもいいし、外発的に『周りから努力が認められる』『周囲の人との交流の中でお互いに勇気づけられる』などということでもよい。とはいえ、ステイホームで家にいると、家族がいるとしても社会的なつながりは薄くなり、人と会わなくなっていると思う。そうすると、自分自身に向き合いすぎたり、どうしても主観的な判断や考えになりやすいので、取れる手段で人とのつながりを保つ中で、動機が維持されるのが望ましい」と述べた。
加えて、「もちろん、家にいる中でも、新しい楽しみや自分の中でのプチハッピーが感じられることは、自分の行動を肯定することにもつながるので、変化のモチベーションが維持される」とした。
一方、「無関心群」「関心あり群」「準備期群」に該当するという人へ向けては、「対策への心の準備をさらに進めて、実行期群、維持期群に行くにはどういう選択肢を辿ればいいかはチャートがひとつの指標になるので、これを参考にこれからの自分の行動を考えてもらえれば」と促し、「なんとなく今、ゴールデンウィークが終わるまでが一つの目標になっているが、これは特に根拠のない区切り。既に一斉休校延長を決めた自治体もあるし、緊急事態宣言の期間延長も考えられる。長期的な視野を持ちつつ、あらためてマインドセットを作っていければ」とした。
（ABEMA／『けやきヒルズ』より）
▶映像：「加藤さんは死んだ…」風評被害で“自主休業”【学君】
この記事の画像一覧
