競輪の王道トレーニング器具「ローラー台」 選手は脅威の回転数
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 悪天候などで屋外練習ができないとき、競輪選手はどうやって自宅で身体を鍛えているのでしょうか?

 ジムや自宅で使用するような、いわゆるフィットネスバイクのような器具で練習していると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には競走で使う実車を用いて練習をしています。移動することなくその場で自転車を漕げる器具、「ローラー台」を使用して。

▶映像:連日、レースを生中継 ABEMAの競輪チャンネル

 ローラー台は大きく分けて2種類あります。「三本ローラー」と「固定ローラー」です。

 三本ローラーは前に1本、後ろに2本のローラーが付けられた台で、自転車のフロントホイールを1本の側に乗せて、リアホイールを2本の間に乗せれば、その場で漕ぐことができます。競輪選手が昔から使用している王道のトレーニング器具です。

 ロールケーキ状のローラーの上で自転車を置いて漕ぐため、乗りこなすまでの難易度が高いです。左右が固定されないのでバランスを取るのが非常に難しいのですが、バランス感覚が鍛えられてペダリング技術が向上します。実走に近い感覚で練習ができるため、とてもシンプルな器具ながら今でも競輪選手の多くが練習に使用しています。

 ちなみにこの三本ローラーに電動モーターを付けた「電動ローラー」という器具もあり、強制的に車輪を回転させることで自分が出せる以上の回転数に合わせる練習をすることができます(競輪選手が使用するピストレーサーという自転車はペダルを固定したまま車輪が空回りしないので、車輪を回せば強制的にペダルが回されて、脚も強制的に回されます)。

 通常の三本ローラーであれば通販などで購入可能です。高いものになると10万円以上のものもありますが、安いものでは1万円くらいからあります。ピストレーサーやロードレーサーじゃなくてもマウンテンバイクからいわゆるママチャリまで、どんな自転車でも乗せることができます。外出できない中、自宅でいつもの自転車に乗ってカラダを動かしたいという人にはオススメです。

 ただし前述しましたように、乗りこなすのが非常に難しいです。慣れて、高速回転させられるようになっても何かの拍子で転倒する危険性があります。またローラーを回転させるため、非常にうるさいです。掃除機や洗濯機レベルの騒音を出すものもあります。集合住宅では近所迷惑になりかねません。そこで「固定ローラー」というものがあります。

 リアホイールの軸を固定して、タイヤに小さなローラーを当てて負荷をかけるものを「タイヤドライブタイプ」と言います。大きなローラーが三本あるローラーに対して、こちらは小さなローラーがひとつ。圧倒的に静音です。

競輪の王道トレーニング器具「ローラー台」 選手は脅威の回転数
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 デメリットとしてはローラーごとに使用できる車種が限定されます(リアホイールの形状などによって)。また固定されてしまうため、左右の揺れがなくなり、実走とは感覚が異なってしまいます。鍛えられる筋肉も変わってしまう。横揺れを再現するタイプもありますが、擬似的なものなので実際の立ちこぎとは違ってしまいます。競輪選手で練習に使う人はほとんどいませんが、自宅で所有するロードレーサーなどでカラダを鍛えるには便利なローラー台になります。

 最近ではさらに進化した固定ローラーが登場してます。「ダイレクトドライブ」と呼ばれるもので、スプロケット(歯車)が付属しており、後輪を外してチェーンを直接付けるタイプです。実車のフレームを使用しているものの、フィットネスバイクのような見た目。

 メリットとしてはタイヤドライブタイプのようにタイヤが摩耗することがありません。そして、これが最大のメリットになるのですが、『Zwift』などのサイクリングシミュレーターと連動させることが可能になります。3D視点のサイクリングゲームを思い浮かべてください。ペダルを漕げば画面のキャラも進んでいく。坂を登るときは負荷が高まり、下るときは負荷が弱まる。急な坂なら負荷は高く、なだらかな坂なら負荷は弱くなるといった感じをペダルで再現してくれるのです。屋内で自転車を使ったトレーニングを楽しくしてくれるものですね。

 最後は競輪選手の練習から外れてしまいましたが、外に出られないときでも自分の自転車を使ってカラダを動かす方法がいくつかあることは知っていただけたかと思います。

 ちなみに「サイクルコンピューター」と呼ばれる計測機(2千円くらいからあります)を自転車に取り付けることで「ケイデンス」という「1分間のクランク(ペダル)回転数」を計測できます。競輪でギア比3.54で70キロ出ているときのケイデンスが157rpm。競輪選手が三本ローラーでの計測ならば250~300rpm出す人もいるとか。実際にやってみるとわかると思いますが、200rpm出すのは至難の業ですよ。

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