DDTプロレスが大会を再開した。無観客試合ではあるが毎週土曜日のレギュラー配信。タイトルマッチ、タイトル絡みの試合も組まれる本格的なものだ。今、マット界は“リング上の流れを止めない”ことを重視する新局面に入っている。
土曜配信マッチ1発目は5月2日。そのオープニングマッチを任されたのはホープ・飯野雄貴とヨシヒコだった。いかにもDDTらしいマッチメイクだ。“地獄の墓掘り人形”の異名を持つヨシヒコは神出鬼没にして団体屈指の強豪。飯伏幸太と激闘を展開したこともある。
その体質(?)からして、今の世の中でも濃厚接触により感染する危険性はおそらく皆無。いわばDDTの最終兵器。ヨシヒコ登場は時代の要請かもしれない。
(パワフルな攻撃は飯野ならでは。しかしヨシヒコは余裕の表情)
この試合、ヨシヒコは存分に実力者ぶりを見せつける。過去の闘いに比べ動きがかなり荒っぽいよいにも見えたが、それは猪突猛進タイプのパワーファイターである飯野に付き合ってのことか。相手のスタイルやレベルに合わせた試合ができるあたりも、さすがヨシヒコといったところ。
最後は空中で超高速回転しての丸め込み「輪廻転生」で勝利したヨシヒコ。しかしこの後、さらに本領を発揮することになる。
竹下幸之介vsMAOvs吉村直巳の3WAYマッチでのこと。竹下がフィニッシュホールドであるジャーマン・スープレックスを狙った瞬間に場内が暗転。次の瞬間、リングにいたのはヨシヒコだった。誰も真似のできない乱入から、ヨシヒコは竹下にチョークスラム。KO状態の竹下をMAOがフォールし、試合は終わった。
飯野に続き竹下を毒牙にかけたヨシヒコ。どうやら狙いは2人が属するユニット・ALL OUTのようだ。ヨシヒコの狼藉に、ALL OUTのメンバーである彰人が宣戦布告。次の大会で対戦する流れに。「人形のようにボロボロにしてやる」と挑発した。だがヨシヒコは、いつのまにかALL OUTに「皆殺し」と書かれた怪文書を送りつけていた。
なぜヨシヒコはALL OUTに狙いを定めたのか。屈辱を味わった竹下はどう出るか。この抗争、DDT配信マッチの軸の一つになりそうだ。
文/橋本宗洋
写真/DDTプロレスリング