こんにちは。青木真也です。37才で元気に練習しています。

4月、緊急事態宣言で世の中の価値観やルールががらりと変わりました。ミーティングや取材もリモートになることが増えました。リモートで済むことはリモートで済ませる流れになったことで物足りなさはあるけれど、事は足りていて、諸々落ち着いてからも以前のような世界には戻らないのだと思ってやっています。

リモート化が進んでもリモートでは解決できないものがあります。

この時期は練習をしないと決めている選手もいるのですが、僕の場合は試合の有無に関わらず、練習をやめられません。この期間で人生の棚卸しができたと思っていて、自分にとって必要なものと不必要なものが明確に分類されたと感じています。僕の場合は、ここまで練習が好きだったのだなと思うくらいに変わらずに練習をしています。4月17日に試合をしたのだから、少し休んでもいいじゃないかと思うのですが、好きだからこそ、練習をしない選択肢がないです。

思い返すとケガをしようと体調が悪かろうと何とかして練習をしていたし、30年近く競技の世界に好んでいるのだから本当に好きなのだと思います。

自粛の流れで「格闘技は不要不急」との意見があるのも事実です。重々分かっています。

もちろん命は大切です。命は守らなければいけないから、手も洗うし、消毒もするし、誰かと会うにしても少人数でと気をつけることは気をつけます。ただ生きがいは個々で違うし、格闘技がなければ生きていけない僕のような人もいます。人によって「これがなくては生きていけない」ものは芸術かもしれないし、料理かもしれない。人を尊重して、寛容になっていけたらなと感じています。4月を乗り越えて、5月はさらに厳しい中を乗り越えていくためにも皆で押さえつけ合うのではなく、皆で乗り越えていけたらなと思っています。

5月31日に修斗がテレビマッチとして、無観客で大会を開催すると発表しました。4月17日のRoad to ONEの経験を活かしてのテレビマッチですが、選手だけでなく、主催者、関係者も必死になって、格闘技を世に届けようとやっています。この文化が今の世の中に必要だと思うから、この文化の価値を理解しているからです。ここは皆が一丸になって、格闘技を世に残していこうと思います。

本当ならば観客を入れて、ライブの魅力を感じてほしいし、選手も主催者も大会開催の醍醐味は会場の盛り上がりにこそあるのは分かっています。僕が魅了されたケンドー・カシンもライブで観戦したからこそだった、という実体験もあります。雑誌や放送だったら格闘技選手、プロレスラーを志していたかはわからないです。今は観客を入れないのが歯痒い思いでいっぱいですが、また選手観客一体になってイベントを作れる日まで、コツコツとやっていきましょう

文/青木真也(格闘家)

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