韓国では“生活防疫”がスタート…宮沢孝幸・京都大学准教授のウイルスと共生しながら逃げる“感染機会8割減”とは
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 検査に次ぐ検査と陽性者の隔離措置、アプリなどを使った感染者の行動監視を実施、3月末からは社会的な距離を保つ措置も導入し、感染拡大防止に力を入れてきた韓国。その甲斐あってか、新たな感染者数は日に日に減少、4月末にはついにゼロになった。そして6日からは、日常生活と経済活動とのバランスを考慮した“生活防疫”に移行。31の項目からなるガイドラインをベースに、制限緩和の動きが始まっている。

 例えばソウルの国立現代美術館は事前予約制に加え、検温、マスク着用、間隔をあけるなどの対策を、ソウル図書館ではインターネット予約をした人に限り貸出を再開、返却は自動返却機を利用するという条件で開館。また、繁華街・明洞近くの展示施設やカフェも再開。市民からは「徐々に状況が収まっているので、心の閉塞感が少し消えた気がする」「今までは出歩けなかったのが、行けるようになったので外出できてうれしい」といった声が聞かれた。

・【映像】「韓国にできるなら日本にもできる」"新しい生活様式"宮沢准教授の見解

韓国では“生活防疫”がスタート…宮沢孝幸・京都大学准教授のウイルスと共生しながら逃げる“感染機会8割減”とは

 まず、韓国のガイドラインは

 1:体調が悪い場合は3~4日自宅で過ごす。

 2:対人距離は両手間隔の健康距離を置く。

 3:30秒の手洗い。咳は袖で。

 4:1日2回以上の換気。定期的消毒。

 5:距離は離れても心は近くに。

 という5大基本原則が設けられ、これを元に今後2年間を「新しい日常」と捉えるべきだとしているという。

 また、

 ・飲食店やカフェで:滞在はなるべく短く。テーブル間隔は2m推奨。対面避け横並びで。食事中のおしゃべりは控える。取り分けず個別の皿で。テーブル等の消毒。

 ・百貨店・大型商業施設のショッピングで:客同士の距離2m推奨。化粧品サンプルの顔への直接使用NG。最小人数を意識。電子決済推奨。

 ・娯楽・遊びの面で:屋外でも対人2m以内はマスク着用。飲食自粛。座席はジグザグ座り。入場券はオンライン購入。ドアノブなども表面を1日1回以上消毒。スポーツ用品やマイクなどは個人用を使用。出入り時症状チェック。ハイタッチ会など自粛。高齢者などは利用自粛。窓は常時開放

 といった細かな具体例も挙げられている。

 この“生活防疫”の考え方に「素晴らしいと思う。僕と同じような考え方の人が韓国にも居たということ(笑)。韓国はMERSやSARSで痛い目に遭った経験があるので、こういう科学的なことができたのだと思う」と話すのが、“人との接触8割減”ではなく、“感染機会8割減”の行動を取るよう提唱してきた、宮沢孝幸・京都大学准教授(ウイルス学)だ。

 宮沢教授は「嫌いな人もいるかも知れないが、一定数が感染する集団免疫で早く収束させ、警戒をしなくても済むような世界にしていくのか、それとも2年間頑張って世界中が収束するのを待つのか、そのどちらかだというのが僕の言いたいこと」とした上で、「韓国は経済を回して行きましょう、2年間頑張って、逃げ切りを図りましょうということを狙っているということだ。日本もこれをちゃんとやっていれば、例えば日本に感染者がやってきたとしても、ぽつぽつと新規が出るくらいで逃げ切れる」と評価する。

 「ウイルスには分からないこともたくさんあるが、オバケではない。大体は原理原則で動いている。知識がないと、すぐ感染するような感じで恐れてしまう。オバケなのは世論の方だ。自粛をやめて普通の生活に戻れば、再び感染が元に戻るだろう。そうならないよう、頭を使って逃げましょうという話だ。その点、専門家会議はちょっと安直だったと思う。接触機会を8割削減すれば収まるのは当たり前だが、経済がボロボロになってしまうし、それができないということも分かってほしかった。様々な方法を吸い上げれば、8割減の効果はできたはずだ。やっぱり人間は困らないと学ばない。今2カ月経ってみんな困っちゃったから、ようやく僕の方に耳を傾けてくれるようになったと思う」・

 では、宮澤准教授が訴える、“接触機会8割減”ではなく“感染機会8割減”とは、どのような考え方・行動なのだろうか。

 「“接触機会の削減”は単に外に出ない・会わないということなので、10人に会う人であれば2人にしか会わないといったことで8割削減ができる。そうではなく、口から出た飛沫を浴びな、触らない、そして密室の状態にしないということを徹底すれば、外に出ようが人に会おうが、8割削減、さらに言えば9割5分削減ができるというのが“感染機会の削減”だ。この両方を組み合わせ、いい塩梅でやっていけばいい」。

 その上で宮澤准教授は、専門家会議が示した「新しい生活様式」について、「“人との間隔は2m(最低1m)空けろ”というが、全員がマスクをしていればもっと近づいてもいいし、小声なら大丈夫だ。“手洗いは30秒程度かけて水と石鹸で丁寧に洗う”についても、15秒でウイルスは減少するので、大切なのはこまめに洗うこと。水と石鹸で1日1回くらいでは話にならない。どこか触ったら汚染したと考えて、ちゃんと手を拭く。除菌のウェットティッシュやエタノール、あるいは手ぬぐいに水を濡らして手を拭くだけでも違う」と指摘。また、「“ジョギングは少人数で”についてだが、前の人の飛沫を後ろの人が吸ってしまう可能性があるので前後はダメ。10m以上離れるか、横並びだ」と話した。

  今後について「ワクチンやいい薬が出てくれば終わるが、これまでの季節性コロナウイルスのように残り続けるとすれば、何十年もやっていかないといけない。その意味では何が正解かは分からない。スウェーデンモデルも正解だと思うし、韓国モデルも正解だと思う。日本はスウェーデン+αでやってきたが、スウェーデンと韓国の折衷モデルでもいいと思う。ただ、知識をもってやれば、もうちょっと自由に行動できる。野球もサッカーもできないことはない。テニスも絶対できる、映画もできる。多くの人は“そんなことできっこない”と私を批判するが、韓国はやりはじめたということだ。韓国が集中力を持続できるかはわからないが、韓国にできるなら日本もできるのではないか」と話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)


▶映像:「韓国にできるなら日本にもできる」"新しい生活様式"宮沢准教授の見解

「韓国にできるなら日本にもできる」"新しい生活様式"宮沢准教授の見解
「韓国にできるなら日本にもできる」"新しい生活様式"宮沢准教授の見解