新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が延長されて初めての日曜日となった5月10日、東京では新たに22人の感染が確認されたが、小池百合子都知事は“緩み”への警戒感を示した。
新型コロナウイルスの一日の感染者数は、全国で7日、8日と100人を下回った。9日には113人、10日は68人と比較的少ない状態を保っている。西村経済再生担当大臣も、13ある特定警戒都道府県のうち、岐阜県や茨城県など感染者が減ってきている自治体については、状況に応じて解除する可能性にも触れた。
5日に連続で感染者数が40人を下回った東京都だが、渋谷のセンター街では、1週間前の5日は-91.6%だったものの、10日は4ポイント増え、-87.9%に。この状況に小池都知事は「街の様子もですね、ちょっと緩んでいるという、そんな雰囲気が漂っていて、またこれでぶり返してしまうと、これまで頑張ってきた分がチャラになるのは、あまりにもったいない。引き続きご協力いただきたい」とコメントした。
当初、GWが一つの目安とされていただけに、徐々に外出自粛による緩みが懸念される中、臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は、さらに5月末まで延長された緊急事態宣言に対して「これだけ長期化してくると、我々が自粛して、それが感染拡大の予防になっていることが分かるような、具体的・科学的なエビデンスや、より身近に迫った脅威、新たな経済的なインセンティブなどがないと、欲求を抑え自粛するという気持ちが盛り上がりにくい」と指摘した。
そもそも「人が黙ってじっとしていることは精神生理学的な観点から見ても非常にストレス」と解説し、「自粛を続けているとストレスが溜まって、人の感情を司る脳の扁桃体が暴走しやすくなる。そうすると、他人を攻撃したり、『もういいよ』と外出してしまったりと、感情に率直な行動を取るようになる。自粛は人にとって無理なことをしているという前提で、適度な緩みも必要。完全な緩みは問題だが、ずっと家にいた人が、ちょっと家の周りを散歩するぐらいの適度な緩みがないと、仮にこれからもっと強い第2波、第3波が来た時に、きっちり自粛できないということが起きうる。出来る範囲で少し緩める、締めるの繰り返しになっていくのが現実的では」と、自粛への強弱も大切だと述べた。
コロナ以前のように、気にせず外出できない状況において、どう過ごしていけばいいか。藤井氏が提案するのは「withコロナはタッチレス社会」というものだ。物理的な接触からバーチャルな世界でも心をつなげられる社会へと変化するために、必要なのは想像力と柔軟性だという。
「物理的な接触が減れば、例えば対人関係でも当然得られる情報が少なくなる。情報不足を補うには想像力が必要だ。また今後は新しいツールを使っていかないといけない。ビデオチャットツールもそうだが、今までの生活とは違うんだという前提で、柔軟に思考や行動の幅を広げていかないといけない」と話すと、ストレス解消を兼ねた対応策として挙げたのはパズルや将棋、ゲーム、読書、資格の勉強といった「知的活動」だ。「運動ももちろんストレスホルモンを下げるのでいいが、頭を使うことも提案したい。毎日、受け身だったり、無為に生活をしてしまうと、頭を使う生活にならない」という。
さらに「探索活動」の一例としては、イラッと来た人のプロフィールなどを調べることが、思わぬ効果をもたらすこともある。「今はみんな結構イライラしていて、家族や上司、あるいはテレビに出てくる首相、都道府県知事、大臣なんかにイラッとすることがある。ただ、その人の背景みたいなものを調べてみると、この人はこういう生い立ちなんだとか、こういう活動もしてきたんだとか、真偽は別としてもさまざまなことがネット情報でもわかる。そうするとちょっと怒りが緩和されたり、時には違った感情も芽生える。人を一面的に見ると思い込みが生じやすくなったり、一つの感情しか生まれてこないが、物事を多面的かつ柔軟に見る練習にもなる」と説明した。
最後に提案したのは「感情調節活動」。どうしても気持ちが塞ぐ状況が続く中で、やはり「笑う」ことの効果は大きい。「マイナスな感情を抱えることが多いので、喜んだり笑ったりするのは、脳を刺激しストレスを解消したり、感情をコントロールすることにつながる。そして結果的には想像力や柔軟性にもかかわってくる。笑顔を作るだけでもいい」と勧めていた。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)




