5月12日は、ナイチンゲールの誕生日にちなみ国際看護の日でもあるとともに、「線維筋痛症」「筋痛性脳脊髄炎」などの世界啓発デーでもある。脳の炎症が原因とされる病の一つ、線維筋痛症は、厚生労働省による国内の推定患者数がおよそ200万人。一般的に「風が吹くだけでも全身に激痛が走る」と例えられるほど、激しい痛みが続く病気と言われている。
2017年には歌手のレディー・ガガも患ったと公表した線維筋痛症。麻酔科専門医として働きながらYouTuberとしても情報を発信するみおしんさんも患者の一人で、必要時に電動車椅子WHILLを併用して生活している。体調が思わしくない時は「寝ています。寝ていても異常に重たくて、押し付けられているようなしんどさの中でいつも生きています」と、動画で症状を打ち明けた。
みおしんさんが、線維筋痛症を発症したのはおよそ20年前。朝目が覚めたときに身体が重くて持ち上げられない症状や、ひどい肩こりに悩みながら無理やり生活をしていた。“鉛の鎧”を背負っているような感覚に襲われ「みんなと遊んでいる時でもすぐ疲れてしまって、その疲れをどうにか隠そうと思って元気にふるまわなきゃいけないのがすごく大変でした」と振り返る。
悪化したのは2010年研修医1年を終える頃。1日12時間以上寝続けるといった寝たきりの日々が半年間も続いた。当初は、病院で検査をしても、異常は見つからず「慢性疲労症候群かも」と医師から告げられたが確定診断にはいかなかった。やせ細り、自分が骨と皮だけのようになっていくのが怖かったという。
その後少しずつADLを回復させ、2012年から研修医に復帰。その後は気合いで麻酔科医として働き続け2019年にようやく麻酔科専門医になった。
そんな中、線維筋痛症と診断されたのは一昨年。一般的に激痛が続くと言われる病気で、倦怠感や「疲れやすさ」といった症状についてはあまり知られておらず、当時所属していた病院でも、「病気を受け入れてもらえない」ことを痛感した。
痛みなどの症状が出ないことで、病気なのに病気と思ってもらえない苦しさもある。「超疲れやすいキャラで押し通してまして、ずっと隠してたんで病名が分かった時点でようやくカミングアウトできた。20年近く隠しきれてないけど隠しながら生きてきたので 最初から(人とは)距離を置いて生活していました」と、人間関係にも人一倍気を遣った。
「本人はめちゃくちゃ痛かったり重くてしんどいのを一生懸命隠しながら生活しているのがほとんどなので、そこに最後のとどめの『なまけ病』と言われるのは…」と、単になまけているように言われるのは、精神的にも非常につらい。
現在は産婦人科クリニックで働くみおしんさん。自分と同じような症状で苦しむ人たちに、病気の可能性に気付くきっかけになってほしいと考えている。「線維筋痛症だけでも200万人の患者さんが潜在的にいるはずなので、もっと有名になっていい病気だと思うし、世界啓発デーをうまく活用してみんなに知ってもらえたらいいなと思います。完治を目指しちゃうとできなかった時の心のダメージがすごいので、だったら痛みと一緒にうまく付き合いながら、伴走して生きていけるようになれればいいかなと思っています」。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)




