「首を吊ろうと思った。もう、にっちもさっちもいかなくてね…店内にある穴にひもをつるして、首を吊ったら楽だなぁと」
新型コロナウイルスの感染拡大が世界で猛威を振るういま、横浜市に店を構える「3丁目カフェ」は、生き残りをかけてがけっぷちの戦いを続けている。イベントスペース付きのカフェを営むオーナーの大野承さん(73)によると、緊急事態宣言を受けて現在お店は休業中。場合によっては100人くらいが入る催し物もあるが、3月の頭からライブやパーティーはすべてキャンセルになった。店の維持費はひと月で200万円が必要になる。
大野さんは自らの命を絶つことはもちろん、夜逃げも考えたというが、命と店の存続をつなぎとめてくれたのは、お客さんたちだったという。
「絶対に無くせないという人が増えて、ケツをたたかれて、クラウドファンディングみたいにして立て直そうとなり…」
その結果、当初の目標だった200万円を大幅に上回る350万円以上の賛同を得ることができた。なかには「またいつか、お店に笑顔で行きたいです。頑張ってください。応援しています」という温かいメッセージもあった。
実際に支援をした出資者の人々は「いい音楽をやる人たちが来る。音楽と親しんでもらえるような場所。結局自分の遊び場になっているので、自分のリビングのように飲めるこんな広い場所は他にない。50人くらいの地域の人が集まって飲めるので、そういう場所は長続きさせたい」と話す。なかには、年金から出資した人もいるという。
新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、人と人との接触制限が求められている今。その人と人とのつながりによって土壇場で踏みとどまることができた大野さんは「嬉しいことですよね」と言葉をかみしめるように喜びを語った。
■「お店より命を守って」と家族に懇願された
「自分も歳だし、コロナでこんな時代になっちゃったし、それで思い切ったんです」
その一方、横浜市で創業47年の中華料理店「グリル来来」を営んできた対比地真六さん(80)は、先が見えない新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4月末をもって47年の歴史に幕を閉じた。「やめたくない」という気持ちはあったというが、家族から「お店より命を守って」と懇願されたことが決断のきっかけになったという。
長年の思い出について対比地さんは「(初めて来店したとき)幼稚園児だった子どもが今も友達を連れて食べに来てくれる。地域の皆さんに助けてもらって、育ててもらっていたんです」と話すと「(お店が)47歳になったんです」と感慨深そうに現在の心境を明かした。
5月8日時点で、新型コロナウイルスの影響を受けて倒産した企業は全国で128件にのぼる。そのうち飲食店は17件が閉店の決断を下している。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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