異例の早さで承認された「抗原検査キット」ウイルス専門医も期待する効果とワクチン開発の現状
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 5月13日、国内で初めて承認された「抗原検査キット」。アメリカの研究機関で博士研究員として働く峰宗太郎医師は「抗原検査が日本の検査体制を強化する」と、期待を寄せている。日本でこれほどのスピードで承認されることに「極めて早い」と高く評価する新たな検査方法は、日本におけるウイルスとの戦いに大きな力となるか。

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 ウイルス学が専門の峰医師からすれば「このタイミングで抗原検査が出てきたというのは非常に素早い開発だったと思います」と言うほど、迅速な対応が取られた検査キットの承認。「感度の低さは確かにあるんですけれども、うまく使えば非常に有用なツール。このタイミングで投入できたということは、かなりアドバンテージになるんじゃないか、ウイルスとの戦いにおいて有利になるのではないかと考えています」と述べた。

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 また、最近は減少傾向にある日本国内の感染者数についても、外出自粛の効果が出ていると評価する。一方で気になるのは、感染者数の減少と紫外線の関係性。先月、アメリカの政府機関が「紫外線や高温多湿の環境に、新型コロナウイルスを減少させる効果がある」と発表したが、峰医師は「現時点で夏になればおさまると捉えるべきではない」という。また、BCGワクチンの有効性や人種による免疫の差についても、あくまで一つの説、仮説であると強調。「今後さらに細かい検証がなされていくことが重要だと思っていますし、もしそういった差がわかってくればより有効な対策を打つことができるので研究の進展を期待したい」と、冷静な判断を求めた。

 ウイルスとの戦いにおいて、最も注目されるのがワクチンの開発だ。現段階でワクチンの完成に見通しは立っているのか。「現在の時点では、私の個人的な考えとしてはそこに関しては楽観的で、ワクチンはできるのではないかとは思っています。現在ワクチンの試験はどんどん進んでおります」と説明し、動物モデルにおいては、ワクチンの候補を打ったら抗体ができるというところまで判明したものもあるという。今後、効果の高いワクチンが開発され、その投与が開始されれば「生活制限というものは、急速になくなっていくというのが希望されます」と語った。

 ワクチン完成を前に感染が広がりすぎてしまった場合には、人が自然に免疫を持つ「集団免疫」が成立する状態が、収束への道筋だが、それには大きなリスクもある。スウェーデンでは、国民に集団免疫を獲得させる独自の路線でウイルスとの戦いに臨んだが、結果は他の北欧諸国と比べて5倍から10倍以上といった死亡率になってしまった。「特に高齢者層を直撃していてかなりの方が亡くなっている。これはやはり命の選択という意味におきましても、倫理的な問題がある考え方の可能性がある」と話す。

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 このような事態を招かないためにも、多くのウイルス研究者は日々、非常に高いモチベーションを保ちながら、新型コロナウイルスと最前線で戦っている。「何としても克服しようという非常に強い熱意も感じますし、実際に投下されている資本、お金も施設もヒューマンリソースも含めてですけれどもケタ違いのものとなっています。研究者、医療従事者はじめ、すべてのこの病気に取り組んでいる方々の熱意に感謝していますし、期待もしています」と、メッセージを送った。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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ウイルス専門家が期待感 抗原検査
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