「安倍政権は権力争いに巻き込まれた。検察は説明責任を果たすべき」検察庁法改正案問題で石橋文登・元産経政治部長
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 18日午後、安倍総理は自民党の二階幹事長と会談。検察庁法改正案を含む“束ね法案”の国家公務員法改正案について、今国会での採決を見送ることで一致した。

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 会談後、安倍総理は「まさに国民全体の奉仕者たる公務員制度の改革については、国民の皆様の声に十分に耳を傾けることが不可欠であり、その考えのもと今後の対応方針について幹事長と考え方が一致した。この法案については国民の皆様から様々な批判があった。そうした批判にしっかり応えていくことが大切だろう」と話した。

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 検察幹部の定年が内閣の判断で延長できるという特例が盛り込まれていたことから、政治家の汚職などを追及する検察の人事に時の政権が介入するのではないかと懸念された今回の改正法案。多くの著名人も反対の意思を示し、「#検察庁法改正案に抗議します」「#検察庁法改正案の強行採決に反対します」などのハッシュタグがついたツイート件数は1000万に達したとも言われており、立憲民主党の枝野代表は「何といっても多くの有権者の皆さんが声をあげていただいた」と評価した。

 安倍総理に最も食い込んで取材をしているという“黒シャツ”こと政治ジャーナリストの石橋文登・元産経新聞政治部長は「本当に官邸側から定年延長しろ云々ということがあったとしたら、本当に倒閣になるような騒ぎになる。しかし総理本人も説明しているように、官邸が“検察官の定年を延長しろ”という指示を出したことは一度もない。4月に行われる予定だった国連犯罪防止刑事司法会議“京都コングレス”について、稲田検事総長が“これだけは自分が準備してきたのでやりたい、だから1月には辞めない”ということで、法務省から上がってきたものを承諾した、というだけの話だ。官邸は全く噛んでいないのに、なぜか“官邸の意向”という話にすり替えられている」と話す。

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 石橋氏が背景にあると指摘するのが、1月に閣議決定で定年延長が決まっていた黒川弘務・東京高検検事長(1957年2月8日生まれ)と同期の林眞琴・名古屋高検検事長(1957年7月30日生まれ)の司法修習35期の同期、そして定年に関わる、誕生日が半年ほどしか違わないという微妙な関係性だ。

 「法務省や検察庁に詳しい記者なら分かっているはずだが、黒川さんと同期で、やはりエースといわれてきた林さんとの間で権力争いが起きていて、安倍政権はその巻き添えを食ってしまったといわれている。“安倍総理と親しい”というような枕詞が付いている黒川さんについても、安倍さんは彼のことをほとんど知らない。むしろよく知っているのは、共謀罪の審議の頃に法務省刑事局長だった林さんの方だ。当時、官邸で頻繁に打ち合わせをしていたし、安倍さんが“林さんって優秀だな”と言っているのを聞いたこともある。それに対して黒川さんとは飯を食ったこともないようだし、安倍さんからは“く”の字も聞いたことがない。安倍総理からしたら、今回のことはキツネにつままれたような話だろうし、“結託しているみたい”に言われてしまっている黒川さんもかわいそうだ。OBの検事総長や特捜部長まで意見書を出している状況だし、説明責任は検察にあるのではないか」。

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 それでは、内閣委員会で森法務相が明確な答弁を行わないのはなぜなのだろうか。

 石橋氏は「理由は2つある。まず1月末の黒川さんの定年延長に関する閣議決定について、こういう案件は全て省庁が内閣法制局とすり合わせ、過去の政府答弁などと齟齬がないかどうかチェックしてから持ってこなければならない。しかし、“検察官には国家公務員法の定年制は適用されない”という昭和56年の政府答弁を法務省が見逃していた。この点を指摘したのは、野党側の金星だと言える。加えて、昔から法務省は大臣答弁の振り付けが不親切だと言われてきた。今回の法案は森大臣が作ったものではないし、施行が2年も先の話なのだから、きちんと答弁を振り付けておかないといけない。やはり最高検が出てきて説明責任を果たすべきだと思う」との見方を示した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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