赤井沙希と安納サオリのシングルマッチは、文字通り“噛み合う”ものとなった。
5月16日配信のDDT TV SHOWで行なわれた「赤井沙希おきばりやす七番勝負」の6戦目。前哨戦のタッグ対決でフォール負けしている赤井は、その気合いをゴング直後のビッグブーツ(顔面蹴り)で表した。
先制された安納は場外でのイス攻撃で形勢逆転。お互いの荒々しさ、気の強さが見える展開だ。いわゆる“美女レスラー”として注目される2人だが、だからこそ“見た目だけ”の偏見を跳ね返す強さを培ってきた。
リング内に戻ると、安納は足を集中攻撃。しかし赤井はダメージのある足で強引に蹴っていく。顔面蹴りの応酬、エルボーの打ち合いと感情をぶつけ合うような闘いだ。赤井は安納の大技ラッシュをしのぐと、ハイキックから新人賞(ランニングキック)、そして最大のフィニッシャーであるケツァル・コアトルを決めて3カウントを奪った。
前哨戦から激しい攻防を展開、舌戦もあった両者。意識し合うのは互いの実力を認めているからこそだった。
「他団体だけどずっと意識してました。安納さんみたいに強くて奇麗で、カッコよくて華のある選手が、女子プロレスを引っ張って、光っていく。これから私たちの世代で、女子プロレスといわずプロレス界を引っ張っていきましょう」
リング上でそう語った赤井に対し、安納はバックステージでコメント。
「本気を感じたかったから意地悪なことも言いましたけど、赤井沙希、好きですね」
赤井は2013年、安納は2015年デビュー。レスラーとしては“同世代”にあたる。ともに芸能界からのプロレス挑戦。注目されやすく、一方で風当たりも強かった。プロレスラーとしての感性の部分で、2人には共通するものも多いのだろう。インタビュースペースでも顔を合わせた2人は「今度は組んでも」と口を揃えた。実現すれば、強さと華を兼ね備えたタッグとしてかなり大きな存在になりそうだ。
赤井はこれで七番勝負の戦績を3勝3敗に。最終戦のカードは未定だが、しかるべき強敵が用意されるという。その闘いぶりに加え安納との今後への期待感もあり、この七番勝負は赤井のキャリアにとって重要な意味を持つものになっている。
写真/DDTプロレスリング