春夏連続の甲子園中止…球児救済に「独自大会」の動きも 松坂投手はWebサイト創設を提案
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 日本高校野球連盟は5月20日、夏の全国高校野球大会の中止を決定した。105年の歴史を誇る甲子園が中止になったのは、1918年の米騒動、1941年の戦局悪化に続いて、今回が3度目。春夏続けて大会が中止になるのは史上初だ。

▶【動画】夏の甲子園、中止の理由

 「夏の甲子園中止」という衝撃の知らせは、一斉に全国の球児たちに届いた。長崎商の相川晃甫主将(3年)は「高校3年生までしか追えない、限りある夢を追っていたんですけど、その夢が今日失われて、本当に悔しいです」と、唇を噛んだ。

 20日に行われた会見で、日本高校野球連盟・八田英二会長は「球児の皆さんに苦渋の決断をお伝えする悲しい日となりました。春のセンバツ大会に続き、夏の選手権大会の開催中止を伝えることは、まさしく断腸の思いです」と発言。当初、高野連などは無観客での開催を検討していたが、地方大会を含む全ての試合の中止。多くの選手や関係者が、全国から鉄道やバスなどを使って移動することに加え、集団で宿泊することなどを考慮した結果、感染のリスクは避けられないという結論に達した。

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 地方大会の日程確保も難しかったという事情もあった。甲子園を8月10日から開幕するためには、その代表校を決める地方大会を6月下旬から順次開催する必要がある。ところが現在、休校が長期化し、多くの学校で部活動は休止中。そのため、地方大会までに球児たちが体力を回復し、実戦感覚を取り戻すには期間が短く、けがや熱中症のリスクが大きいと判断した。

 今年は春の地方大会についても、沖縄を除いた46都道府県で中止。この状況下で、球児たちに最後の舞台を用意しようと、全国の半数以上の都道府県では、独自の地方大会の開催を検討している。

 千葉県の高野連は「3年生は進路の問題があるので、7月の後半から8月上旬にかけて、出来るのであればその時期に。トーナメント形式の大会ができるかどうか、明後日の理事会で検討していきたい」と、独自大会に意欲を見せた。また指導者からも独自の大会開催を切望する声があがっている。宮城・仙台育英の須江航監督は「ここまで努力してきたことが、無駄ではないことを、ここからの日々で証明していきたいと思っている。ここからは大人の出番だと思っている。道を示してあげて、共に歩んでいきたい」と、球児のために動き出すべきだと熱弁した。

 球児のために、という働きかけは多様だ。プロ野球西武の松坂大輔投手は、スカウトの目に留まるようにと、各地方高野連で選手やチームの動画投稿を受け付けるWebプラットフォーム創設の案を出している。京都・龍谷大平安の原田英彦監督は、全国の強豪同士で真剣勝負を行うとして、6月に甲子園出場の常連校と練習試合を予定。他の独自プランにも、県大会を行った上で地区大会の開催、地区のみに限定センバツ開催、というものもある。

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 ノンフィクションライターで甲子園取材の経験もある石戸諭氏は「春のセンバツと比べて中止の決定が早かった」と指摘。その上で、春のセンバツ大会と夏の選手権大会では、新型コロナウイルスの感染拡大状況が違うことに着目。センバツ大会が中止になった3月末から4月上旬には、かなり感染拡大の懸念もあったが、「コロナの感染リスクはどう考えてもゼロになることはない。社会活動と経済活動、どこかで両立をはかっていかないといけない」と、リスクを抱えることも承知で活動を再開することの必要性を説いた。

 海外のスポーツ事情を例にしても「サッカーではドイツ・ブンデスリーガが始まっている。日本はドイツと比べても、かなり感染を抑え込んでいる現状」とし、「社会活動・教育活動を、この状況でどうすればできるのかを考えるのが大事。(大会を)やる方向でもうちょっと考えてもよかったんじゃないかと思う」とも述べた。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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夏の甲子園 球児に残酷な知らせ...
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