新型コロナウイルスの感染拡大防止のための一斉休校要請から2カ月以上が経ち、有名私立校や大手学習塾が続々と導入する一方、公立校ではなかなか進まない「オンライン教育」。16日のABEMA『NewsBAR橋下』では、教員や東京都教育委員の経験もある作家の乙武洋匡氏と橋下徹氏が日本の公立校の課題について議論した。
乙武氏はまず「海外の学校の視察に行ったことがあるが、いまだに黒板とチョークで授業しているのは先進国では日本くらいじゃないかと思う。ほとんどが電子黒板で、パソコンで自由に調べ物ができるようになっている。羨ましいなと思って“いいですね”と言ったら、キョトンとされて“日本はこうじゃないの?だってこれ日本製よ”と。日本で作っているものなのに、なんで日本の学校で導入できないんだって恥ずかしくなった」と振り返る。
「ただ、注意しなければいけないのは、オンライン教育と聞くと遠隔で授業をするイメージがあるかもしれないが、教師が電子黒板を使い、パソコンで資料を出して、それが子どもの手元にあるタブレットに映し出され、やりとりが履歴として残るのもオンライン教育だ。それぞれの“学びのカルテ”を作ることができるので、“この子はどこでつまづいていて、どういうやり方だとうまくいく”といったデータも効率的に引き継げる。進み方がゆっくりな子をより支援していくにも推進した方が良いと思う。僕としては、あくまでもメインは今までどおり教室に集まって子どもたち同士が学び合うことを大事にしたほうがいいと思う。その上でデジタルを使い、病気や障害をもった子どもたちのためにオプションとしてオンライン授業をやっていくことのがいいのではないか」。
橋下氏は「コロナなどの感染症の場合、ワクチンや薬ができるまでは何回も同じような問題が出てくるし、グローバル化の時代、そのリスクは高くなる。だから社会のあらゆる分野でオンラインを活用して乗り切っていくことになっていく。ただ、教育は人間同士が集まってなんぼというところもある。教室をメインとしつつも、補完的にオンラインでの遠隔授業も含めた教育の機会を確保できる仕組みを作っていかないといけない。日本の公立学校はその点においては遅れている」と指摘。
「先生たちもカリキュラムを考えるのに手一杯だという状況があるのだろうし、家にWi-Fiや端末がなかったりと、家庭環境の厳しい子どもも多い。しかし、大阪で言えば600~700校ある小中学校の全てが整うまで待ちましょう、ということではなく、環境のある子、できる子はどんどん進めて、そうでない子には端末を貸してあげる、ということにしないとなかなか進まない。2009年頃に中国に視察に行ったとき、上海の子どもたちがコンピューターでカチャカチャやっていて“すげえな”と思った。でも、ずーっと見てたら、キーボードをいい加減に叩いていたの。つまり、視察にきた僕らに、“中国はこれだけやってんだぞ”というポーズだった。それでも今や中国は世界最先端を走るようになっている。日本はとにかく考えて考えて、なかなか動かない。ポーズでもなんでもいいから、とにかくやるんだということで、政治が動かさないといけない」。
乙武氏が「じゃあ橋下さんが総理大臣になったら、僕を文部科学大臣に任命してください」と持ちかけると、橋下氏は「吉村さんが総理大臣やると思うから、そのときはぜひ文部科学大臣に!」と切り返し、笑いを誘っていた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)





