「不可解な謎」世界が注目する日本の死者数が少ない要因 “ファクターX”とは
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 「日本のコロナ対策は成功した。日本はピーク時で1日当たり700人以上の感染者が確認されたが、今は40人程度にとどまっている」

【映像】死者数少ない日本 “ファクターX”とは

 WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は25日、日本の新型コロナ対策について「成功している」と評価した。しかし、なぜ日本はうまくいったのか。明確な理由は依然として不明だ。

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 欧米と比べて、日本の死亡者が極端に少ないのは事実。人口10万人あたりの死亡者は、イギリスやスペイン、イタリアで50人を超えているのに対し、日本は約0.5人にとどまっている。

 ただ、日本の人口10万人あたりの死亡者は、アジアやオセアニアの国や地域でみると、台湾・韓国・中国を超えるワースト1位となっており、手放しで喜ぶことはできない。

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 海外メディアは、日本の新型コロナ対策をどのようにみているのか。アメリカの雑誌フォーリン・ポリシーは「何から何まで間違っているように思える」と厳しい見方を示した上で、「不思議なことに全てがいい方向に向かっているように見える」と評価。また、オーストラリアの公共放送ABCは、混雑する公共交通機関や高齢者人口の多さ、罰則を伴わない緊急事態宣言を「大惨事を招くためのレシピ」と表現。欧米に比べて少ない被害で済んだことについて「不可解な謎」と表現した。

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 大阪府の吉村知事は、来たるべき第2波に備え今回の自粛効果を検証する必要があると強く要望する。一方、日本人の新型コロナウイルスの死者数などが少ないことについては「ヨーロッパと比べて日本人には(死者が少ない)理由があるはずで、僕自身も分からないが、何らかの“ファクターX”があるんだろうと思う。平時の時、落ち着いてきた今だからこそ研究者間でしっかり議論してほしい」と述べた。

■生活習慣?BCG接種?遺伝的な要因?

 世界的に見て、新型コロナウイルスによる日本の死亡者数が少ない要因「ファクターX」とは何なのか。ノーベル賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、いくつかの仮説を指摘している。

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【仮説1 生活習慣・高い生活意識】

 日本人は普段から頻繁にマスクをつけ、握手やハグではなくお辞儀であいさつする習慣や、靴を脱いで家に入る習慣などがある。

【仮説2 BCGワクチンの接種などの影響】

 結核予防として日本では義務化されている「BCG」の接種。このワクチンが新型コロナウイルスの重症化を抑えている可能性があるという。WHOは現在のところ、BCGの新型コロナウイルスに対する有効性について「証拠がないので接種の推奨はしない」という報告書を出しているが、BCGを接種している日本などでは比較的死者が少ない傾向があり、何らかの関係があるのではないかとも言われている。

【仮説3 遺伝的要因】

 この遺伝的要因は現在、慶応大学や東京医科歯科大学など8つの研究機関の研究者の間で共同研究が始まっている。研究プロジェクトを統括する慶応大学の金井隆典教授によると、個人の遺伝子の配列の違いによってウイルスに対する免疫の反応が違ってくるという。中でも“免疫反応の司令塔”の役割を担う「HLA」と呼ばれる分子のタイプによって、新型コロナウイルスが重症化しやすいか軽症で済むか関係性を調べていくということだ。

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 金井教授は、日本やアジアで新型コロナウイルスの死亡者が少ないことには複合的な理由があるとしていて、HLAのタイプの人種的な違いも関係しているのではないかと指摘している。研究チームでは、全国十数カ所の施設で500~600人の血液を集めてデータの解析を進め、無症状や軽症と重症になった人のHLAのタイプを調査し、9月をめどに研究成果をまとめる予定だ。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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