「人気の支給案を片っ端から詰め込んだよう」第2次補正予算案の使い道に西田亮介氏
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 政府は新型コロナウイルスの経済対策として、第2次補正予算案を閣議決定した。一般会計歳出総額は補正予算として過去最大の31兆9114億円で、民間の投資を合わせた事業規模総額は約117兆1000億円にのぼる。

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 補正予算でポイントとなるのが、売上が悪化した事業者への家賃支援給付金だ。半年間で最大600万円を上限に家賃の3分の2を給付する制度で、およそ2兆242億円が計上されている。他にも、労働者を休ませた企業に支給する雇用調整助成金の日額上限を1人当たり8330円から1万5000円に引き上げることなどが盛り込まれている。

 財源は全額、国債の新規発行に頼るということで、これにより今年度の歳出総額約160兆円の56%が借金で賄われることになる。麻生財務大臣は「経済が再生する、活性化する以外に財政再建はありえないと最初から申し上げているので、これを通じて雇用と事業を守り抜いていくことが我々にとっての最大の目的だと思う」と述べた。

「人気の支給案を片っ端から詰め込んだよう」第2次補正予算案の使い道に西田亮介氏
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 第2次補正予算の使い道について、東京工業大学准教授の西田亮介氏は「給付措置が多いのが印象的」として、次のように指摘する。

 「経費の3分の2を助成するというのは補助金によくある方法。このように対象を細かくすると一見良さそうだが、細かくすればするほど“なぜその対象が必要なのか”という必然性がよくわからなくなってくる難しさを抱えている。事業者が抱える固定費は何も家賃だけなく、例えば中小企業でものづくりをしている会社であれば、電気や燃料の費用などの方が重要になってくるかもしれない。全体を見てみると、なぜその費目『だけ』が必要なのかという説得力に欠け、さらに言えばデタラメな印象を受ける。ネットで話題になっていてテレビで取り上げられやすいような、わかりやすく人気があるものを片っ端から詰め込んだようにも見えてくる」

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 さらに西田氏は、「家賃補助は特に飲食店・小売店に効果的だと思うが、町の自営業とその利益団体は自民党支持の傾向が高いという点も念頭に置いてみては。この間、内閣支持率は劇的に下がっている。両者が直接関係するかどうかは現状なんともいえないが、両方知っているといろいろ想像することもできる」とも付け加えた。

 では、過去最大の“大盤振る舞い”で、国民への影響はあるのか。「国債は利子をつけて返済し続けるのが基本なので、将来の政策の裁量の幅は狭くなっていく。東日本大震災の後にも大型の復興予算が組まれたが、その借金は例えば所得税の復興加算のように、我々の気づかないところに組み込まれている。ちなみに企業加算は既に終了。個人にのみ加算。普通に考えれば、今回のものも何らかの形で返していく必要が出てくるので、効果・意味・根拠がある支援がなされることが重要。災害関係では、住宅再建などを念頭に置きながら、法律できちんと給付の対象・金額・使い道が決められている。今回は基準と根拠がはっきりしないままに給付の措置が取られている。一時的に需要を喚起する措置も重要だが、企業向けに薄く広く給付で配ることが果たして景気対策として効果的かという議論もありえる。明日の生活もあるが、1年後の生活もある。政府が民意に応えてお金をばらまくのは人気も出るのでやりやすいが、効果がなければそのツケは我々に戻ってくるということは意識しておく必要がある」とした。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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