「旅行にかかる費用が安くなり、観光業界の雇用も変わる。地方で人材も育つ」星野リゾート代表・星野佳路氏が説く“休日分散”
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 新型コロナウイルスの感染拡大で大きなダメージを受けた観光業界。アフターコロナの観光業に注目が移りつつある中、5月30日のABEMANewsBAR橋下』では、星野リゾート代表取締役社長の星野佳路氏と橋下徹氏が“休み方改革”について議論した。

・【映像】星野リゾートの星野佳路代表を迎えてアフターコロナの観光業を考える!

 星野氏は「子どもの休みに合わせて親が有給休暇を自由に取れるようになれば、休日の分散にもつながる。しかし日本は先進国の中でも祝日の多い国で、そこで休むので有給が取りにくくなり、結果としてやはり皆が一緒に休むということになる。どうしても祝日を減らすことができないのであれば、ゴールデンウィークに祝日を溜めてきたのと同じように、秋にも祝日を溜めて連休を作ろうという考えもある。あるいは日本を5つの区に分け、2500万人ずつが休んでいくという考えもある。そうすれば、観光も劇的に変わる。混まなくなる、値段が下がる、長く滞在できるようになる、需要が平準化する。観光産業の75%は非正規雇用だが、正社員雇用の比率も増やすことができる。そうすれば、地方でも優秀な人材が育ってくる。私は、休み方改革、そして観光需要の平準化が、これからの観光産業にとって最も大事な変革につながると思っている」と力説する。

 実際、フランスでは国内を3つの地域に分け、各地域が時期をずらし、2週間の休暇を取るようにする制度が設けられている。

 「フランスは4月の連休はABCと細かく3つの地区にわけて、Aが最初の2週、Bが2週目と3週目、Cは3週目と4週目に休みを取るようにしている。そうすることによって費用も安くなるので、多くの方が長く旅をすることができる。また、受け入れる側の観光地にとっても需要が平準化するので生産性が上がり、収益率も高まる。日本でも関東すべてを同じ地域にすると。そこから外に出ていく高速道路が混んでしまうので、関東を3つに分ける、という考え方でやるといいと思う。もちろん、部品の工場が違う地域にあるということで、そのような休み方をされると困る製造業の方もいる。しかし、部品の多くは海外から来始めているし、全体としてはやったほうがプラスだと考え、やったほうがいい。笑い話だが、なぜフランスでこれができたかというと、“日本では働くために休んでいる。フランスでは休むために働いているんだ”と。日本もこれからは観光産業が経済や地方の雇用を支えるのではないかと期待されている。観光庁ができ、観光立国を目指してインバウンドを増やしていこう、という時なので、そろそろこういうことを考える時期にきたと思っている」(星野氏)。

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 星野氏の話を受け、橋下氏は「実現させようとすれば、必ず“社会が混乱するから”という理由で反対する人が出てくるが、それは最後は政治が号令をかければなんとかなると思う。観光業にとどまらず、災害や今回のコロナのような問題に対処していくには、画一的なスケジュールで皆が同じように動くという今の体制では弱い。皆がそれぞれ動いていく中で、ある部分が止まっても、別の部分が動いていく。これが社会の体制を強くしていくのだから、休みにしても働き方にしても柔軟性を持たせることを、政治がやっていかないといけない。どっかの政党が“休みを分散させる”というのを公約に掲げてやってほしい」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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星野リゾートの星野佳路代表を迎えてアフターコロナの観光業を考える!
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